Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・腫瘍

(S528)

慢性心不全治療の経過中に発生した左室内血管腫の一例

A case of cardiac hemangioma in patients with chronic heart failure

山元 博義1, 加藤 弘康1, 国重 めぐみ1, 岡本 直高1, 福島 良一2, 井戸田 恭子2, 福本 直栄2, 西蔭 朋子2, 別府 慎太郎1

Hiroyoshi YAMAMOTO1, Hiroyasu KATOU1, Megumi KUNISHIGE1, Naotaka OKAMOTO1, Ryoichi FUKUSHIMA2, Kyoko IDOTA2, Naoe FUKUMOTO2, Tomoko NISHIKAGE2, Shintaro BEPPU1

1大阪船員保険病院内科, 2大阪船員保険病院臨床検査科

1Internal medicine(Cardiology), Oska Seamen’s Insurance Hospital, 2Clinical laboratory department, Oska Seamen’s Insurance Hospital

キーワード :

【症例】
35歳男性
【主訴】
(自覚症状なし)
【既往歴】
一年前にうっ血性心不全にて入院.RAS blocker,βブロッカー(Carvedilol)で加療中あった.
【現病歴】
平成25年1月心機能フォローアップのための心エコー施行時に前回(4か月前)までの心エコーでは認められなかった16×18mmの左室中隔に付着する
高エコーの腫瘤が認められた.鑑別診断としてもともと心機能が悪かったため血栓,また頻度的に粘液腫などの可能性を考えたがCT検査を行ったところ単純でCT値は比較的高く,造影CTで造影されるため血栓や典型的な粘液腫,脂肪腫の可能性は低いと考えられた.左心系の可動性の腫瘍で脳塞栓症のリスクがあることから手術による切除を施行した.切除標本の病理組織学的検索にて血管腫と診断された.術後経過は良好で術後4か月での再発はない.
【考察】
本心臓腫瘍の存在診断には心エコーは極めて有用であるが,本腫瘍に特異的な所見があるわけではなく,最終診断にはCT,MRIの併用が必要である.
本心臓腫瘍は原発性心臓腫瘍の中でもきわめてまれであり,その臨床経過は自然消退するものから増大し不整脈の原因となるものなど一定ではない.したがって本腫瘍疑われた場合は手術の施行の有無にかかわらず心エコーでの厳重なフォローが重要と考えられる.
【結語】
慢性心不全治療の経過中に発生した左室内血管腫の一例を経験した.