Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能2

(S526)

組織ドプラ心エコー法と心電図同期心筋SPECTを用いた左室拡張能の関係

Relationship between Tissue Doppler Imaging Echocardiography and Gated SPECT in The Estimation of Cardiac Diastolic Function

中村 学1, 奥村 恭己1, 川地 俊明1, 橋本 智子1, 安田 英明1, 橋ノ口 由美子1, 井上 真喜1, 北洞 久美子1, 曽根 孝仁2, 坪井 英之2

Manabu NAKAMURA1, Yasuki OKUMURA1, Toshiaki KAWACHI1, Satoko HASHIMOTO1, Hideaki YASUDA1, Yumiko HASHINOKUCHI1, Maki INOUE1, Kumiko KITAHORA1, Takahito SONE2, Hideyuki TSUBOI2

1大垣市民病院医療技術部診療検査科形態診断室, 2大垣市民病院循環器内科

1Department of Clinical Reserach, Ogaki Municipal Hospital, 2Cardiology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
最近,心不全患者の約半数が収縮能指標である左室駆出率(LVEF)が保たれた心不全(HFPEF),拡張期心不全であることが明らかになった.その診断に,組織ドプラ心エコー法(TDI)による拡張早期僧帽弁輪運動速度(e´)が左室弛緩能の指標,左室流入血流拡張早期波高(E)のe´に対する比(E/e´)が左室充満圧の指標として普及している.しかしながら,肥大型心筋症や重症低心機能例における精度の問題点が報告されている.また,組織ドプラ法の角度依存性がe´を過小評価することなどの不正確になる要因が存在する.
今回,TDIを用いた左室拡張能の指標と心電図同期心筋SPECT(gated SPECT)による左室時間容積曲線より算出される拡張能指標についてその関係を検討した.
【対象および方法】
発作性心房細動患者11例,心房粗動患者1例(男性9例,女性3例,年齢55〜78歳,平均68±7歳)を対象とした.全例,同時期にTDIとgated SPECTを施行した.gated SPECTによるLVEFは47〜83%,平均66±12%であった.TDIは,アロカ社製SSD-6500,プロサウンドα5,α7および東芝社製Xarioを用いて,四腔断層像にて左室流入血流拡張早期波高(E)と僧帽弁輪の心室中隔側および側壁側で拡張早期僧帽弁輪運動速度(e´)を計測した.左室充満圧の指標として,中隔側(S)および側壁側(L)のそれぞれのE/e´および平均(M)E/e´を算出した.gated SPECTはQGS(Ver.2009)ソフトウェアを用い,時間容積曲線から最大充満速度(PFR),最大拡張到達時間(TPFR),早期平均充満速度(1/3MFR)を算出し,両者の各指標との関係をみた.
【結果】
1.e’(S),e’(L)それぞれの指標とPFR,TPFRおよび1/3MFRすべての指標において有意な相関関係を示さなかった.2.E/e´(S),E/e´(L),E/e´(M)それぞれの指標において,PFRおよびTPFRとはいずれも有意な相関関係を示さなかった.しかしながら,1/3MFRとはE/e´(S):R=0.6,P<0.05,E/e´(L):R=0.79,P<0.005,E/e´(M):R=0.71,P<0.01と有意な負の相関を示した.
【考察】
gated SPECTによる時間容積曲線から算出される1/3MFRは拡張早期の拡張能指標であり,PFRとTPFRは拡張早期と拡張後期の両方の拡張能を反映すると考えられている.今回の検討で,TDIを用いたE/e´がgated SPECTによる1/3MFRのみと有意な相関を示したことは,E/e´が拡張早期の拡張能指標であることに起因するものと推察された.
【結論】
TDIを用いた左室充満圧の指標は,gated SPECTによる早期平均充満速度と関係があることが示唆された.