Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能2

(S525)

左室弛緩は駆出率の保たれた患者の運動耐容能の重要な規定因子である

Left Ventricular Relaxation is an Important Determinant of Exercise Capacity in Patients with Preserved Left Ventricular Ejection Fraction

菊池 祥平, 若見 和明, 大手 信之

Shohei KIKUCHI, Kazuaki WAKAMI, Nobuyuki OHTE

名古屋市立大学心臓・腎高血圧内科学

Department of Cardio-Renal Medicine and Hypertension, Nagoya City University

キーワード :

【目的】
左室弛緩異常は運動耐容能が低下する要因の一つである.一方で,左房リザーバ機能も左室一回拍出量や運動耐容能を規定する因子として知られている.そこで我々は左室駆出率の保たれた患者において,左室弛緩と左房リザーバ機能のどちらが運動耐容能を規定するより主要な因子であるかを検討した.

【対象】
慢性冠動脈疾患を有し,左室駆出率が50%以上の患者59名.

【方法】
安静時心エコー図検査に続いて心肺運動負荷試験を同日に施行した.心エコー図検査では,左室駆出率(EF),拡張早期の僧帽弁口流入血速度(E)と拡張早期の僧帽弁輪移動速度(e’)に加えて,長軸方向の収縮期左房ストレイン値(S-LAs)と拡張早期ストレイン値(S-LAe)を2Dスペックルトラッキング法を用いて計測した.心肺運動負荷試験において最大酸素摂取量(pVO2)を測定した.

【結果】
左室弛緩のサロゲートマーカーであるe’とS-LAeは,pVO2との間にそれぞれ有意な単相関を認めた.(r=0.71,p<0.0001; r=0.63,p<0.0001)また,左房リザーバ機能を反映するS-LAeとpVO2との間にも有意な単相関を認めた.(r=0.58,p<0.0001)重回帰分析において,e’がpVO2を規定する唯一の因子として選択された(r=0.71,p<0.0001).

【結論】
左室駆出率の保たれた慢性冠動脈疾患患者において,左室弛緩こそが運動耐容能を規定する主要な因子であると考えられる.