Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S525)

トルバプタンの導入が必要であった心不全症例の心エコー図学的特徴

Echocardiographic characteristics in heart failure patients requiring Tolvaptan

中田 康紀1, 岡山 悟志1, 中野 知哉1, 上田 友哉1, 竹田 征治1, 川上 利香1, 上村 史朗1, 藤本 眞一2, 斎藤 能彦1

Yasuki NAKADA1, Satoshi OKAYAMA1, Tomoya NAKANO1, Tomoya UEDA1, Yukiji TAKEDA1, Rika KAWAKAMI1, Shiro UEMURA1, Shinichi FUJIMOTO2, Yoshihiko SAITO1

1奈良県立医科大学第1内科, 2奈良県立医科大学教育開発センター

1First Department of Internal Medicine, Nara Medical University, 2Education Development Center, Nara Medical University

キーワード :

【背景と目的】
トルバプタンは,ループ利尿薬等の従来の利尿薬の効果が不十分な心不全症例に対して期待されている.しかしながら,どのような症例が従来の利尿薬のみで治療できるのか,また,トルバプタンの導入が必要になるのかについてを入院時に予測する方法は明らかでない.我々はトルバプタンが必要であった心不全症例の心エコー図学的特徴について後ろ向きに検討した.
【方法】
2011-2012年にトルバプタンが導入された心不全患者16例(T群)とトルバプタンを使用せずに従来の利尿薬で2週間以内に退院しえた心不全患者16例(C群)について,入院時の心エコー図所見を後ろ向きに比較した.
【結果】
T群はC群に比して心不全入院歴が有意に多く(3.4±1.6 vs 1.2±1.5回,p<0.001),eGFRは低値であった(31.7±18.5 vs 46.0±22.4 ml/min/1.73 m2,p<0.05)が,BNP値には有意差が認められなかった(894.8±914.6 vs 927.6±751.0 pg/ml,p = 0.59).LVEF(42.8±46.6 vs 48.3±15.8%,p = 0.35),LVEDV index(101.7±60.5 vs 96.9±34.3 ml/1.73 m2,p = 0.95),LA(51.2±8.4 vs 47.0±8.4 mm,p = 0.16)にはともに有意差が認められなかった.IVSとPWはともに有意に小さかった(8.8±2.6 vs 11.1±2.2 mm,p<0.01,9.5±2.4 vs 10.6±1.8 mm,p<0.05).大動脈弁と僧帽弁の逆流の重症度には有意差が認められなかったが,三尖弁逆流は有意に重度であった(2.0±1.0 vs 1.1±0.9 pt,p<0.05).なお,心房細動例が多かったため左室流入血流速度の評価は困難であった.
【結語】
少数例での検討ではあるが,左室肥大が軽度で三尖弁逆流が大きいことがトルバプタンの導入が必要であった心不全症例の心エコー図学的特徴であった.