蜂谷 明, 安河内 聰, 瀧聞 浄宏, 田澤 星一, 小田中 豊, 大軒 健彦, 仁田 学, 島袋 篤哉, 百木 恒太

Akira HACHIYA, Satoshi YASUKOCHI, Kiyohiro TAKIGIKU, Seiichi TAZAWA, Yutaka ODANAKA, Takehiko OONOKI, Manabu NITTA, Atsuya SHIMABUKURO, Kouta MOMOKI

長野県立こども病院循環器小児科

Pediatric Cardiology, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【目的】
先天性心疾患において2次元心エコーを用いた機械弁の弁開閉運動の定量評価の有用性について検討すること．
【対象と方法】
2012年12月1日から2013年11月30日に機械弁置換を行った先天性心疾患3例（女児3例，0歳11ヵ月から4歳1ヵ月）．Case 1：0歳11ヵ月，21トリソミー，完全房室中隔欠損症，Saint Jude Medical（以下SJM）19MHP．Case 2：両大血管右室起始症，肺動脈閉鎖症，共通房室弁逆流症，SJM23M．Case 3：無脾症，両大血管右室起始症，共通房室弁逆流症，SJM25M．その後血栓弁となり再弁置換，SJM23M.
以上の症例において合計で5回，2次元心エコーと弁透視を同時に施行した．2次元心エコーでは心尖部からプローブを当て，4腔断面と2腔断面双方で弁輪とprobeが相対するように位置を定め，人工弁が開閉した状態とほぼ直行するようにprobeを回転，前方弁と後方弁の開閉が明瞭に観察できる画像を描出し前後の弁の開放角を計測した．弁透視では通常通りに弁開放角を計測，2つの方法を比較検討した．
【結果】
2次元心エコー　弁透視　前方弁　後方弁　前方弁　後方弁
Case 1　84.3　85.1　82.3　81.9　単位（°）
Case 2　83.9　83.5　84.5　83.8　単位（°）
Case 3　84.4　84.7　84.6　85.3　単位（°）
　3-2　35.6　56.2　32.3　60.4　単位（°）
　3-3　83.7　85　85.5　82.3　単位（°）
3-1弁置換術後，3-2血栓弁，3-3再弁置換術後
前方，後方弁ともに2次元心エコーと弁透視の角度の差異は5°以下であった．
【結論】
小児先天性心疾患の機械弁置換術後において2次元心エコーによる弁開放運動の定量評価は可能で，有用な方法であると考えられた．