Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
不整脈/インターベンションと心エコー

(S497)

心房細動患者の左房機能と心室血管連関の年齢への影響における性差

Sex Differences in Left Atrial Mechanics and Ventricular-Arterial Coupling and Their Relationship to Age in Patients with Atrial Fibrillation

増田 くに子1, 小保方 優1, 根岸 一明1, 黒沢 幸嗣1, 反町 秀美2, 舘野 利絵子1, 丹下 正一2, 天野 昌夫3, 倉林 正彦1

Kuniko MASUDA1, Masaru OBOKATA1, Kazuaki NEGISHI1, Kouji KUROSAWA1, Hidemi SORIMACHI2, Rieko TATENO1, Shouichi TANGE2, Masao AMANO3, Masahiko KURABAYASHI1

1群馬大学医学部附属病院循環器内科, 2前橋赤十字病院循環器内科, 3老年病研究所附属病院循環器内科

1Cardiovascular Medicine, Gunma University Graduate School of Medicine, 2Cardiovascular Medicine, Maebashi Red Cross Hospital, 3Cardiovascular Medicine, Geriatrics Research Institute and Hospital

キーワード :

【背景】
心室スティフネスと動脈スティフネスには性差が存在し,女性の方が男性よりもスティフネスが高い.また,女性の方が,心室スティフネスも動脈スティフネスもともに年齢の影響を受けることが報告されている.しかし,左房のスティフネスの性差や年齢との関係については知られていない.最近,スペックルトラッキングで得た左房ストレインが左房スティフネスを反映することが報告されている.
【目的】
本研究の目的は左房ストレインの性差と年齢との関係を調べることである.
【方法】
年齢と性別をマッチさせた184人の心房細動患者(男76±10歳,女76±9歳)に対して,スペックルトラッキングエコーを施行した.
【結果】
年齢,収縮期血圧に男女で有意差はなかった.(男126±21mmHg,女126±23mmHg,p=0.735)心室,動脈スティフネスはともに女性が男性に比べて有意に高かった.(心室スティフネス:男0.43±0.20/mL,女0.71±0.4/mL,p<0.001,血管スティフネス:男3.5±1.3mmHg/mL,女4.3±2.2mmHg/mL,p<0001).男性において,年齢は心室スティフネス(r=0.30,p=0.005),動脈スティフネス(r=0.37,p<0.001)と有意に相関し,女性において,年齢は心室スティフネス(r=0.49,p<0.001),動脈スティフネス(r=0.30,p=0.005)と有意に相関した.年齢と心室スティフネスの相関関係のみ,有意に女性で強かった.左房ストレインについては,女性が男性に比べ有意に小さく(男18.2±6.6,女15.6±5.4,p<0.014),女性において男性よりも左房スティフネスが上昇していることを示唆した.男性においては,年齢は左房ストレインと相関せず(r=-0.20,p=0.08),女性においては有意に相関した(p=0.001)が,この相関関係に有意差はなった(p=0.972).
【結論】
左房ストレインは女性のほうが男性より有意に小さかったが,年齢と左房ストレインの相関関係に男女で有意差はなかった.この結果は心房細動患者において,左房スティフネスは女性で男性より上昇しているが,左房スティフネスに対する年齢の影響に性差はないことを示唆する.