Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
不整脈/インターベンションと心エコー

(S496)

不整脈源性右室心筋症診断における心エコー図検査の有用性

Usefulness of echocardiography in patients with arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy

島田 恵, 馬場 彰泰, 小杉 理恵, 赤石 誠

Megumi SHIMADA, Akiyasu BABA, Rie KOSUGI, Makoto AKAISHI

北里大学北里研究所病院循環器内科

Department of Cardiology, Kitasato Institute Hospital, Kitasato University

キーワード :

不整脈源性右室心筋症(ARVC)は右室由来の心室性不整脈を主徴として突然死を来す特発性心筋症であり,2010年の診断基準改定では経胸壁心エコー図検査およびMRIによる画像検査の有用性が報告されている.本研究では不整脈発症前から心エコー図検査が施行され,経過を追えたARVCの症例を経験したので報告する.症例は66歳女性.心室頻拍による動悸発作の発症1年前に心電図異常(III,aVF誘導の異常Q波と陰性T波,胸部誘導V1-V3の陰性T波)で経胸壁心エコー図検査で右室の限局した壁運動低下と拡大を指摘されたが症状なしのため経過観察とされた.その後旅行先で動悸発作(持続性心室頻拍)を発症して当院に入院となった.心電図ではイプシロン波と広範囲の誘導での陰性T波が出現,心エコー図検査ではすでに右室拡大と壁運動低下は進行し,三尖弁閉鎖不全も重度であった.心臓カテーテル検査施行し,心筋生検で右室心筋の脂肪変性と繊維化を認め,ARVCの確定診断となった.表は無症状の時からの心エコー図の右心系パラメーターの経過である.表に示すように無症状の頃から右心系の拡大や壁運動低下はわずかに認めており,症状がいったん発症すると急速に病態が悪化する事が明らかとなった.本症例ではその後数回のカテーテルアブレーション施行とICD植え込み手術を行ったが,右心不全が進行し,発症後約2年で死亡した.近年では遺伝子診断の有用性も検討されており,発症前からの心エコー図検査を用いた診断がより重要と考えられため報告した.