Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
バブル・音響放射力

(S492)

音響放射力による極細カテーテルの誘導理論と基礎実験

Theory and fundamental experiment of introduction for a thin catheter using acoustic radiation force

望月 剛, 鶴井 信宏, 保坂 直斗, 江田 廉, 桝田 晃司

Takashi MOCHIZUKI, Nobuhiro TSURUI, Naoto HOSAKA, Ren KODA, Kohji MASUDA

東京農工大学大学院生物システム応用科学府

Graduate School of Bio-Application & System Engineering, Tokyo University of Agriculture and Technology

キーワード :

【目的】
今やカテーテルは診断から治療まで様々な方法で使用されている.例えば冠動脈狭窄を診断し,さらにバルーンカテーテルによりその狭窄部位を拡張するカテーテル手術や再狭窄を防ぐためにその場にステントを留置する手術は非常に多く行われている.最近では,脳動脈瘤破裂を防ぐ治療として,非常に細いカテーテルをその瘤の近くまで到達させ,そのカテーテルから細いプラチナ線を吐出させ,その瘤内に糸巻のようにプラチナ線を充填し,破裂を防ぐ手術も行われている.そこでもし直径が200μm以下のカテーテルができたと仮定すると,より細い血管内をとおし,例えばカテーテルを腫瘍の極近くまで接近させることが可能となり,腫瘍に高濃度の抗癌剤や薬剤内包のマイクロバブルを局所的に送達させることが可能となる.本報の目的はこのような極細カテーテルの誘導を従来のようにガイドワイヤーを用いずに超音波放射力により誘導を行う方法の提案とその可能性を検証する基礎実験の報告にある.
【方法】
極細カテーテルを模擬した外径400μmと200μmのチューブを用意し,水中に設置されたこれらのチューブに対して超音波周波数2,3,7,10 MHzの超音波を照射し,このとき各チューブが超音波放射力のよるたわみ量を計測し,このたわみ量から片持ち梁の式を用いてカテーテルに作用した力を算出する.またこの力を応用し,200μmのチューブを多分岐流路に導き,7 MHzと10 MHzの超音波を用いて2つの分岐点で目的の方向に誘導する実験を行う.
【結果】
外径400μmの細径カテーテルでは2 MHzの超音波で,ピーク音圧が300 kPaで約20μN程度の力が作用していること,そしてこの力はカテーテルの外径寸法と超音波周波数の関数となることが分かった.また,誘導実験では,多分岐流路の第1分岐では7 MHzの超音波でカテーテルを誘導し,続いて第2分岐部では10 MHzの超音波を用いて目的の流路に誘導することが可能であった.その時のカテーテルが誘導されている様子を図1に示す.
【結論】
外径400μmと200μm細径カテーテルを周波数が数MHzの超音波の放射力で曲げることが可能であった.この時,カテーテルの作用した放射力を計測することができ,この力がカテーテルの外径寸法と超音波周波数により変化することも分かった.さらにこの力を応用し,細径カテーテルを多分岐流路内で目的の方向に誘導することが可能であった.