Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
イメージング

(S487)

散乱点重畳法を用いた少数回送受信による高精度胎児体表イメージング

High-accuracy ultrasound imaging of fetal surface features using the range-point-migration method with a small number of transmit events

瀧 宏文1, 谷村 真弥1, 阪本 卓也1, 椎名 毅2, 佐藤 亨1

Hirofumi TAKI1, Shinya TANIMURA1, Takuya SAKAMOTO1, Tsuyoshi SHIINA2, Toru SATO1

1京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻, 2京都大学大学院医学研究科

1Graduate School of Informatics, Kyoto University, 2Graduate School of Medicine, Kyoto University

キーワード :

【目的】
超音波胎児体表イメージングは産婦人科領域で広く使用されている.一般的にはビーム形成を行い,走査線毎に送受信を行い画像化するが,より安全性を高めるため送信信号電力を下げることが望ましい.我々は超音波胎児体表イメージングの安全性とイメージング精度を高めるため,低指向性の超音波を少数回送信するイメージング手法を提案する.
【方法】
提案法はrange-point-migration法に基づくイメージング法である.目標上の散乱点は,送信素子,受信素子位置を焦点とし伝搬距離を長軸長とする楕円上に存在するため,提案法は様々な送受信素子対で楕円を描画し,この交点から散乱点位置を推定する.各送受信素子対に対して散乱点位置が一意に推定されるため,従来法であるmigration法と比較し像のにじみが少なく,高精度な推定画像が得られる.さらに,低指向性送信ビームを使用することにより通常の超音波イメージング法と比較し小さい送信電力で測定が可能となり,また無指向性送信ビームを使用する場合と比較し異なる目標からのエコーの影響を抑圧できる.我々は0.6 mm素子間隔で128素子から成り,2 MHzの送信中心周波数をもつ凹面アレイを用いて提案法のイメージング特性を実験により評価した.提案法は15素子を用いて低指向性の送信ビームを1 cm間隔で形成し,5回の送受信データを重畳して画像化を行った.
【結果】
図は実験により得られた2個の直径2 cmアクリル円筒の超音波画像である.従来法であるmigration法の描出画像と比較し,提案法はアクリル円筒表面を鮮明に描出できている.Migration法で推定された左右の円筒直径はそれぞれ1.64 cm,1.48 cmであったのに対し,提案法で推定された直径はそれぞれ2.04 cm,1.92 cmであった.この結果から,低指向性送信ビームを少数回送信することにより高精度に目標境界をイメージングできることが示された.
【結論】
提案法により低送信電力で高分解能胎児体表イメージングが実現可能であることが示唆された.本手法により,超音波胎児体表イメージングの安全性とイメージング精度をさらに改善できる可能性がある.