Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
デバイス応用

(S470)

医療応用を目的としたΠ型コイル状ステータ超音波モータの粒子速度と回転速度の測定

Measurement of the Revolution Speed and Particle Velocity of Shaped Coiled Stator Ultrasound Motor for medical applications

阿部 峻靖1, 守屋 正2, 入江 喬介2, 竹内 真一1

Toshinobu ABE1, Tadashi MORIYA2, Takasuke IRIE2, Shinichi TAKEUCHI1

1桐蔭横浜大学工学研究科医用工学専攻, 2マイクロソニック開発部

1Graduate School of Biomedical Engineering, Toin University of Yokohama, 2R&D, Microsonic Co., Ltd.

キーワード :

【はじめに】
近年,医療分野においてアテレクトミーや血管内超音波(IVUS:Intravascular Ultrasound)などの小型デバイスを用いた血管内治療が著しい発展を続けている.しかし,既に実用化されている回転駆動を伴う血管内治療機器は体外に回転運動の駆動源を持つため,長く蛇行した血管内を経て動力を伝達する必要がある.そこで,動力を伝達するためのワイヤに負荷が掛り,回転が不均一になる問題や,負荷によるワイヤの破損を防止するために使用時間に制限が生じるといった問題がある.そこで,これらの問題を解決するために,血管内で使用可能な小型モータの開発が行われている.
我々はマイクロモータを開発する試みとして,コイル状ステータ超音波モータ(CS-USM:Coiled Stator Ultrasound Motor)の開発を行ってきた.CS-USMは構造が非常にシンプルな超音波モータであり,これまでに外径1 mm以下のモータが作製されている.しかし,CS-USM は問題点として効率が低いという問題点が指摘されてきた.そこで,高効率化を図るために超音波パワー循環型音響導波路を用いた直交駆動方式のCS-USMであるΠ型CS-USMを作製した.CS-USMは,音響導波路上の粒子の楕円運動によって駆動を行っている.今回,Π型CS-USMの超音波パワー循環型音響導波路上の粒子速度およびロータの回転速度を測定し,両者の関係性について検討した.
【方法】
作製したΠ型CS-USMの音響導波路の素材はステンレス(SUS304)であり,幅0.3 mm,厚さ0.1 mmである.コイル状ステータの巻き数は5とした.振動子にはPZT(富士セラミクス,C213材,幅1.5 mm,長さ50 mm,厚さ0.25 mm)を用いた.PZT振動子の駆動電圧を2〜32 VP-Pまで増加させながら,Π型CS-USMの超音波パワー循環型音響導波路上の粒子速度およびロータの回転速度を測定した.本実験では時間に対して正弦波的に変化する粒子速度の最大値測定した.また,ロータが回転をはじめてから十分な時間が経過してから回転速度を測定した.
【結果】
Π型CS-USMの超音波パワー循環型音響導波路上の粒子速度およびロータの回転速度を測定した結果,粒子速度の上昇にともなってロータの回転速度も上昇していくことが確認された.また,今回作製したΠ型CS-USMでは最大で約3800 rpmの回転速度を記録した.図1の(a)に振動子の駆動電圧と粒子速度の関係,(b)に振動子の駆動電圧と回転速度の関係を示す.