Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
デバイス応用

(S470)

フォノニック結晶で構成された菱形音響レンズの特性

Characteristic of the rhombic acoustic lens constructed with phononic crystal

土屋 健伸, 清水 一磨, 深澤 昂太, 遠藤 信行

Takenobu TSUCHIYA, Kazuma SHIMIZU, Kota FUKASAWA, Nobuyuki ENDOH

神奈川大学工学部電気電子情報工学科

Department of Electric, Electronics and Information Engineering, Kanagawa University

キーワード :

【目的】
我々は三角格子状の周期構造により負の屈折率を持つフォノニック結晶構造を用いた平面状音響レンズの特性について解析した.そして,ステンレス円柱棒による試作モデルを作成して集束音場の実測を行い解析結果との良好な一致を得た.[1]
従来の研究では,一般的な両凹面の音響レンズに比べて利得が小さい点が問題であった.そこで平面波入射時に音波が集束する菱形形状の音響レンズの開発を行った.本報告では菱形形状の音響レンズの基本特性を求めるため,数値解析より菱形音響レンズの集束音場を求めた.
【対象】
フォノニック結晶構造体の外形は菱形形状で傾斜角は30°とした.フォノニック結晶構造体は伝搬方向zに最大13本,方位方向xに最大60本のステンレス円柱棒によって構成される.構造体は三角格子状に配置し円柱間の間隔dを1.5 mm,円柱の直径aを0.7 mmとする.周囲媒質として水と仮定している.音源から波蓮長20発のパルス波を送信した.周波数は500 kHzから800 kHzの範囲を解析した.
【結果】
周波数を変化させた時のレンズ後方の集束音場をFig. 1に示す.500 kHzでは音波が遮断されてレンズ後方の音場は減衰し,700 kHzではレンズ後方の音場が集束している.Fig. 2に伝搬軸上の音圧分布を示す.音圧値は各周波数での最大値で規格化している.500 kHzでは音波が集束せず減衰し,700 kHzでは距離約8 mm地点に集束している.900 kHzでは距離約33mで焦点を形成しているが,その後振幅が減少していないため,明確な焦点となっていない.
Fig.3に方位方向の音圧分布を示す.500kHzでは伝搬軸よりも左右の音圧が高く遮断域である.周波数が700kHzになると音波が集束され,-3dBビーム幅が約1.8mm程度になる.900kHzになると-3dB幅が広がる.
【結論】
本報告では平面波入射時に音波が集束する菱形形状の音響レンズの開発を行った.数値解析の結果,平面波で集束する菱形音響レンズのパラメータを得た.今後は試作モデルを作成し,水中での諸特性の測定を行う予定である.
【謝辞】
本研究の一部は,文科省科学研究補助金基盤研究(C)# 2456092の助成,ならびに社団法人日本超音波医学会研究開発班の助成を受けました.ここに深く感謝いたします.
【参考文献】
[1]土屋,他,FDTD法によるソニック結晶構造音響レンズの収束音場の解析,信学技報,US2010-101,53-58,(2011).