Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
バブル・キャビテーション

(S464)

複数同時超音波照射による気泡クラウドキャビテーション

Bubble cloud cavitation by multi-frequency ultrasonic wave

泉 遥介, 金井 拓也, 砂口 尚輝, 山越 芳樹

Yosuke IZUMI, Takuya KANAI, Naoki SUNAGUCHI, Yoshiki YAMAKOSHI

群馬大学大学院理工学府理工学専攻電子情報・数理教育プログラム

Department of Electronics and Informatics, School of Science and Technology, Gunma University, JAPAN

キーワード :

【目的】
高い音圧を持つ超音波で微小気泡を破壊し,気泡キャビテーションにより細胞膜に微小な穴を穿つソノポレーションは,超音波支援ドラッグデリバリシステム(DDS)において薬液導入効率向上のための重要な技術である.微小気泡に気泡を破壊しないが気泡に音響放射圧を加えられるような音圧を持つ超音波を照射すると,気泡が音響放射圧で集合化し気泡クラウドを形成,その後集合化気泡が流路壁面に付着する現象が観測される1).本稿では気泡クラウドからのキャビテーションについて超音波周波数への依存性を実験的に評価し,複数の周波数を持つ超音波を同時に照射する際に観測された気泡クラウドの挙動について実験を行ったので報告する.
[実験方法]流路模擬ファントムとしてNIPAゲルを,微小気泡として超音波造影剤(レボビスト)を用いた.まず,NIPAゲル流路内に微小気泡を流した後,ポンピング超音波(音響放射圧を気泡に与えるが気泡を破壊しないような超音波)(2.5MHz,50kPa,100ms×3回)を照射して流路壁面に気泡クラウドを形成させる.ここに高い音圧を持つキャビテーション用超音波(2.5MHz,1MPa,2500波,及び,1.0MHz,2MPa,2500波)を単独,あるいは同時に照射したときの気泡の挙動を高速度カメラで観察した.
[実験結果]図は周波数2.5MHz(音圧1MPa)と1MHz(音圧2MPa)の2つのキャビテーション超音波を同時に照射した際の気泡クラウドの様子で,輝度値を縦軸にとり3次元表示した結果である.30[sec]の照射を30秒の間隔をあけて計3回行ったが,2.5MHz(音圧1MPa)の単一周波数の超音波を照射したときは一回の照射で気泡クラウドが破壊されることが多いが,1MHzの超音波を加えると,気泡クラウドが押しつぶされ周囲に広がる様な現象がみられた.更に2つの気泡クラウド間をブリッジ状に結ぶ,比較的自由に動き回れる複数の微小気泡も同時に観察された.先の実験で,気泡クラウドが移動し,軌跡の周囲に微小窪みが形成される結果を得ているが,ここで観察された現象は気泡クラウドからの微小窪み形成に寄与していることが推察された.
【結語】
ここで観察された気泡クラウドを押し潰すような現象や自由に動き回れる微小気泡は,キャビテーションによる微小窪み形成を誘発する要因になっていることが推察され,今後,これら現象の解明とこれら現象を活かすための超音波照射条件の最適化を検討していきたい.
【参考文献】
1)郡裕路,他:日超医第84回学術集会,84-基-007,2011.