Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

奨励賞演題
産婦人科 奨励賞

(S457)

多発子宮筋腫における術中内視鏡超音波検査の有用性の検討

Usefulness of laparoscopic ultrasound for multiple myomas during laparoscopic myomectomy

三村 貴志, 石川 哲也, 遠武 孝祐, 瀬尾 晃平, 清水 華子, 長谷川 潤一, 森岡 幹, 市塚 清健, 関沢 明彦

Takashi MIMURA, Tetsuya ISHIKAWA, Kosuke TOTAKE, Kohei SEO, Hanako SHIMIZU, Jyunichi HASEGAWA, Miki MORIOKA, Kiyotake ICHIZUKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科学教室

Obstetrics and Gynecology, Showa university school of medicine

キーワード :

はじめに
子宮筋腫は30代女性の3人に1人が持つ疾患であるが,近年の女性のライフスタイルの変化(少子化,晩婚化や妊娠の高齢化)もあり,筋腫の巨大化,多発化した患者が増加している.多発子宮筋腫においては,その数が多いとすべて取り除くことが難しく,再発や再手術の原因となる.
目的
術中に内視鏡超音波を利用することで,多発筋腫症例に対し核出率が増えるかを検討した.特に,2cm以下の筋層内筋腫について残存率が減少するかどうか検討した.
方法
2012年1月から6月までに当院で腹腔鏡下筋腫核出術を施行した66症例のうち術後に当院で術後半年の経過観察を行った症例の中で,多発筋腫患者に対し術中内視鏡超音波を使用した9症例と,年齢や挙児希望がないことを理由に術中超音波検査を行わなかった17例とを比較した.術者は,いずれも内視鏡技術認定医によるものとした.超音波機器は,ALOKA製の術中用電子リニア探触子(腹腔鏡用フレックスタイプ)UST−5550を周波数8.0Mで使用した.統計ソフトはSPSS17.0を使用し,各測定値の統計学的検定はカイ二乗とMann-Whitny U検定で行い,p<0.05を有意差ありとした.
当院では挙児希望のある患者は術後6ヶ月にMRI検査を施行し,筋腫の残存,筋層菲薄化を確認し,その結果を基に妊娠を許可している.
結果
術中超音波使用群と非使用群で,筋腫重量,筋腫個数,核出率(実際に核出した筋腫数/術前MRIで検出した個数)に違いはなかった.術前MRIで認めた3cm以上の筋腫についてはすべて核出されたが,筋層内筋腫残存率(術後残存筋層内筋腫数/術前MRIで検出した筋層内筋腫の個数)には使用群14.1%,非使用群28.0%であった(p=0.02).また,出血量の中央値(範囲)は400ml(50-1450)と263ml(50-2050)(p=0.44),手術時間は,176分(125-227)と142分(116-168)(P=0.22)であった.
結語
内視鏡超音波を使用することで,3cm未満の筋層内筋腫をより多く核出が可能であり,症例を選択して術中内視鏡超音波検査の使用が有用であることが示唆された.