英文誌(2004-)
奨励賞演題
消化器 奨励賞
(S456)
エラストグラフィと肝血清マーカーを用いた肝線維化診断−臨床応用に向けて‐
Assessment of Liver Fibrosis with Ultrasound Elastography and Serum Markers
矢田 典久, 工藤 正俊
Norihisa YADA, Masatoshi KUDO
近畿大学医学部消化器内科
Department of Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine
キーワード :
【はじめに】
超音波エラストグラフィを用いた肝線維化診断は有用であるとされる一方で,肝線維化ステージ間での重なりが多く,超音波エラストグラフィだけでは肝線維化を診断できないことも多い.この欠点の補う目的で肝線維化血清マーカーを組み合わせ,線維化診断能の向上を試みた.
【方法】
C型慢性肝炎患者195名を対象とし,肝生検と同日にReal-time Tssue Elastography(RTE)と血清マーカー採血を施行.肝生検組織診断をgold standardとして,血清マーカーとRTE画像の特徴を表す指標である特徴量とを用いてデータマイニングを行い,ディシジョンツリーを導き出した.肝生検診断とディシジョンツリーによる診断との一致率を評価した.
【結果】
肝生検診断では,F1 72名,F2 62名,F3 22名,F4 39名.モデルでは血小板数,RTEの特徴量としては歪度(SKEW),コントラスト(CON),ヒストグラムの尖度(KURT),相対ひずみの平均値(MEAN)の重要度が高かった.このディシジョンツリーを用いた際の肝線維化診断の一致率は,F1 95.8%,F2 59.7%,F3 77.3%,F4 71.8%と非常に高値であった.
【結語】
RTEと血清マーカーを用いることで,肝線維化を診断できた.また,肝生検診断との一致率は非常に高く,十分臨床応用できるレベルであることが確認できた.