Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

奨励賞演題
消化器 奨励賞

(S454)

造影エコーを用いた肝細胞癌に対するソラフェニブの早期治療効果予測に関する検討

Usefulness of contrast-enhanced US for the assessment of clinical outcomes in patients with hepatocellular carcinoma treated with sorafenib

倉橋 知英1, 井倉 技1, 福田 和人1, 澤井 良之1, 小来田 幸世1, 関 康2, 今井 康陽1

Tomohide KURAHASHI1, Takumi IGURA1, Kazuto FUKUDA1, Yoshiyuki SAWAI1, Sachiyo KOGITA1, Yasushi SEKI2, Yasuharu IMAI1

1市立池田病院消化器内科, 2市立池田病院放射線科

1Department of Gastroenterology, Ikeda Municipal Hospital, 2Department of Radiology, Ikeda Municipal Hospital

キーワード :

【目的】
進行肝細胞癌に対するソラフェニブは長期投与による生存期間の延長が期待されており,その治療効果を予測するバイオマーカーの同定が望まれている.今回,我々はソラフェニブ投与早期の腫瘍部・非腫瘍部の血流変化が,治療効果や無増悪生存期間に影響するか検討した.
【対象と方法】
切除不能,局所治療適応外でChild-Pugh Aまたは7点Bの肝細胞癌患者33名を対象とし,2010年6月よりprospectiveに検討した.ソラフェニブは体重50kg未満400mg/日,50kg以上600,800mg/日より開始し,副作用に応じ,適宜増減,休薬,中止した.投与前,投与後3,7,14,28日目にGE社LOGIQ 7を用い,TICを作成,腫瘍部におけるGmax(t=0の傾き)を計測して血流評価を行い,同時に腫瘍マーカーを測定した.また投与前,投与後28日目に造影CTを行いmRECISTで治療効果判定を行った.
【結果】
症例33例中,1か月以上投与可能であったのは26例で,PR 3例,SD 20例,PD 3例だった.SDのうち15例には一部血流低下を認めた.腫瘍マーカーはいずれも1か月目の治療効果とは相関しなかった.腫瘍部の3日目のGmaxが低下していた18例は1か月後のCTで血流低下を認め,血流変化のない症例とGmaxにおいて有意差を認めた(p<0.05).また投与3日後の腫瘍部の血流が低下した症例では有意に無増悪生存期間が良好であった(p<0.05).肝障害を中心とした治療中止例や門脈腫瘍栓のある症例では,ソラフェニブ投与3日後の非腫瘍部のGmaxが低下していた(p<0.05).門脈腫瘍栓の有無で非腫瘍部のGmaxを比較したところ,VP3,4症例では低下を認めた.
【結論】
ソラフェニブ投与3日後における腫瘍部のGmaxが治療効果判定に有用であり,Gmaxが低下すると無増悪生存期間が良好となると考えられた.非腫瘍部の3日目のGmaxが副作用予測に有用であると考えられた.