Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 整形外科
シンポジウム 整形外科1整形外科における超音波診断の現況と未来

(S437)

股関節 膝関節

Hip and Knee joint

藤原 憲太

Kenta FUJIWARA

大阪医科大学整形外科

Orthopedic Surgery, Osaka Medical College

キーワード :

股関節
1980年代からヨーロッパを中心に超音波検査の小児股関節,肩関節に対しての応用が始まった.その影響を受けて本邦における超音波検査の黎明期も小児股関節,肩関節が中心であった.
日本整形外科超音波研究会は平成元年に発足し,その黎明期には小児股関節超音波検査の泰斗であるReinhard Graf教授が来日し,検査技術,診断についての知見を講義した.以後,小児股関節分野特に先天性股関節脱臼(Graf法)において超音波検査は徐々に普及してきた.その功績は日本整形外科超音波研究会による年2回の乳児股関節エコーセミナーに負う所が大きい.
また先天性股関節脱臼の日本オリジナルの方法としては鈴木らによる前方法があり,現在Graf法と前方法の2つの方法が行われている.
他の股関節分野では,これも小児の単純性股関節炎において超音波の応用が一般的になってきている.服部ら,朝貝らの基礎的な研究をベースにペルテス病の滑膜炎期を包括した股関節の炎症についての知見が蓄積されている.
今後は,成人の股関節分野例えば股関節関節唇の損傷を含むFemoroacetabular impingementなどの病態解明に超音波検査の応用を期待したい.

膝関節
当初膝関節周辺の障害に対する超音波検査は,内側側副靭帯,膝蓋靱帯などの表層構造の障害が対象であった.近年軟骨構造の描出が可能という超音波の利点を活かし,変形性関節症の関節軟骨の状態についての研究がなされている.
超音波機器の発展に伴い得られる画像が鮮明となり,血流(炎症)を評価できるパワードプラ画像が簡単に得られるようになった.また機器自体の大きさもコンパクトになり持ち運びが出来るようになった.これを受けてスポーツ分野における超音波の現場での運用が可能となった.
膝関節ではオスグッド病などについて,競技人口が増加傾向にあるサッカー選手を対象にした超音波健診の報告も増えてきている.
半月板については全体像の描出にはまだまだ解決すべき問題はあるが今後超音波の応用が期待出来る.
また関節リウマチ分野の報告も増加傾向にあり,今後小児特発性関節リウマチを含めた知見の蓄積が期待出来る.