Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 整形外科
シンポジウム 整形外科1整形外科における超音波診断の現況と未来

(S437)

足関節や腫瘍に関する超音波診断装置による評価の展望

Prospects of ultrasonographic evaluation for tendon and ligament around ankle joint, and for soft tissue tumor

平林 伸治

Shinji HIRABAYASHI

大阪労災病院リハビリテーション科

Department of Rehabilitation Medicine, Osaka Rosai Hospital

キーワード :

超音波診断が腱・靭帯や関節内の一部組織について有効な診断法として報告されてきた.今回行った足関節や腫瘍のうち主たる検査対象はアキレス腱で最も多くの診断・評価がされ,さらに腓骨筋腱,足関節外側側副靭帯(前距腓靭帯),足根骨間靭帯に及び,腱断裂も横方向だけでなく縦方向の損傷が評価可能となった.また,高周波数探触子の利用で表在の精度の高い血流評価が可能になり足関節のみならず中足骨基節骨間関節に到るまで慢性関節リウマチなど関節炎診断に進展が見られた.
我々はアキレス腱や膝蓋靭帯などの腱,靭帯実質の形態を本学会で報告してきた,同時に正常膝運動における形態変化と内部や周囲血流の有無を検討し単に運動負荷では血流は増強しなかった.一方疼痛が強い腱や再生・修復時の腱では血流が腱実質内部にみられ治療評価やリハビリの適切な時期変更に指針として利用可能になってきている.
腫瘍と血流の変化では,炎症性の強い腫瘤は表面から内部に血流が増加している.皮下類表皮腫,関節内の色素性絨毛性結節滑膜炎などにみられている.またグロームス腫瘍,GCTT腱鞘巨細胞腫瘍など一部の良性腫瘍も腫瘍内部血流増加している.さらに悪性腫瘍では内部が粘液性を示すものは同部に血流はなく,横紋筋肉腫,滑膜肉腫,未分化多形肉腫,ユーイング肉腫など充実性の腫瘍内部に血流が豊富である.腫瘍の表面が凹凸不整で内部が低エコーを基調とし血流を内部に認めるものは腫瘍径が5cm以下と小さくても悪性を示唆する.生検を行い治療の方向を決めるのに有用な所見である.
「硬さ」についてはエラストグラフィー悪性と良性につての報告はないが,大きな腫瘍では悪性変化の所見で同じエコーレベルを持つ部分の一部が硬くなることが知られており,今後の発展が望まれる.