Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 胸部
シンポジウム 胸部1呼吸器領域の超音波

(S430)

縦隔腫瘍の超音波診断 超音波分類基準をいかに活用するか

US Diagnosis of Mediastinal Tumor-assignment, problem and role of US classification-

中田 尚志

Hisashi NAKATA

社会福祉法人函館厚生院函館五稜郭病院呼吸器内科

RespiratoryMedicine, Hakodate Goryoukaku Hospital

キーワード :

はじめに
縦隔腫瘍の超音波分類基準が超音波医学会の診断基準として作成されてから,既に10年以上が経過しております.しかし,超音波診断を含め,縦隔腫瘍の診断は画像所見のみでは極めて困難です.以下の内容につき,縦隔腫瘍の画像診断における超音波診断の有用性と限界,そしてこの超音波分類基準をその中でいかに活用すべきか,自験例を提示しつつ解説します.
1.縦隔の分類と縦隔腫瘍の好発部位
超音波診断に限らず,縦隔腫瘍の画像診断において重要なのは,縦隔腫瘍には好発部位があるということです.成書などで既に周知のように,診断しようとしている腫瘍の存在する部位により好発疾患が有り,鑑別しなければならない腫瘍の種類がそれぞれ異なっているのです.
2.縦隔腫瘍の超音波分類基準
この分類基準では超音波像を以下の5型に分類しています.
I Cystic Type
II Tumor(s)in Cyst Type
III Cyst(s)in Tumor Type
IV Solid Heterogeneous Type
V Solid Homageneous Type
3.縦隔腫瘍の画像診断における超音波診断
有用性・限界と分類基準の位置づけ&活用方法
これまでの検討では,この基準に従って超音波像を分類するだけで診断がつくのは成熟奇形腫のTypeIIのみです.超音波診断という意味で,得られた超音波像から,いかに組織診断に肉薄するかは,超音波像から腫瘍の肉眼での割面をどこまで想像できるかにかかっていると考えます.ここで重要なのは,超音波診断の特徴を生かし,腫瘍の内部構造をコントラストの良好なreal timeの動画として観察し,腫瘍が嚢胞性か充実性なのか,良性かそれとも悪性が疑われるのかを的確に診断し,術前の超音波ガイド下生検の可否および手術の適応を正確に判断することと考えます.