Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 胸部
シンポジウム 胸部1呼吸器領域の超音波

(S430)

EBUS(気管支腔内超音波断層法)の現況と展望

Present and Future in Endobronchial Ultrasonography(EBUS)

栗本 典昭

Noriaki KURIMOTO

聖マリアンナ医科大学呼吸器外科

Chest Surgery, St. Marianna University

キーワード :

EBUSには,ガイドシースを装着した細径超音波プローブで末梢病変を同定後生検するEBUS using a Guide Sheath(EBUS-GS),細径超音波プローブで気管支病変深達度診断,コンベックス型超音波気管支鏡を用いたEBUS guided Transbronchial needle aspiration(EBUS-TBNA)などがある.
I.EBUS-GS
I-1 EBUS-GSを成功させるための工夫
1)自分が描いた気管支の枝とNavigationによる誘導気管支との比較
2)GSの準備
GSの準備では,使用する細径超音波プローブをGSに通し,プローブ先端の探触子がGS先端から丁度出るように.
3)気管支鏡の誘導
誘導できる最も末梢の気管支まで気管支鏡を入れる.
4)生理食塩液注入法の有用性
気管支鏡の先端を気管支に楔入させ,7-10mlの生理食塩液(生食)を気管支鏡の鉗子口から気管支内に注入し,気管支内のbubble, sputumを排除する.
5)adjacent toからwithinにする方法:透視下で誘導,超音波下での誘導などでどう粘るか.
①レントゲン透視下で気管支を選びなおす
②超音波画面で気管支を選びなおす
I-2 悪性末梢病変に対するEBUS-GSの成績
EBUS-GSを施行し,EBUS-GS,CTガイド下生検,手術で肺癌の確定診断に至った84例を検討対象.EBUS-GS法での診断率は90.5%(細胞診:79.8%,組織診:83.3%).病変の長径:≤20mm;83.3%,20‐30mm;91.7%,30mm<;96.7%.withinになった症例57.1%,adjacent toであった症例40.5%.上記のadjacent toからwithinにする方法を用いることで,adjacent toであった症例の82.4%をwithinにすることができていた.最終的にwithinになった症例の診断率93%,最終的にadjacent toであった症例の診断率83%.
I-3 EBUSによる肺末梢病変内部構造診断
肺末梢病変の内部エコーの均一性,血管・気管支の開存状態でType分類(Type I: homogenous,Type II: hyperechoic points, type III: heterogenous)を行い,Type Iでの良性疾患は92%,Type II/IIIでの悪性疾患は99%であった.
II.気管支壁深達度診断
扁平上皮癌を代表とする肺門部早期癌の中で,気管支軟骨内縁より浅い腫瘍に対しては,photodynamic therapy(PDT)などの局所治療で治癒が期待できる.1990年代にEBUSが登場すると,直接気管支壁の断層像を得ることができ,客観的に気管支壁深達度を評価できるようになった.我々は摘出標本での針刺し実験を行い,肺外気管支の軟骨部5層,膜様部3層,肺外気管支5層であることを示した.臨床例での深達度診断でEBUSと病理組織所見が一致しなかった症例に,腫瘍直下にあるリンパ球浸潤を腫瘍浸潤と過大評価した例を認めた..
III.EBUS-TBNA
2004年にConvex型超音波気管支鏡が開発され,対象病変の位置を確認し刺入していく針をreal-timeに観察することが可能になった.
穿刺に適しているリンパ節内部は,内部エコーは不均一で血流が保たれている部位である.血流が保たれていない部位は壊死の可能性があり,診断が困難なうえ穿刺後の感染のリスクがある.最も大切なコツは,針を気管支軟骨間に刺すことである.