Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 腎泌尿器
パネルディスカッション 腎泌尿器2下部尿路疾患を超音波で診る!

(S410)

空中超音波CWドプラを援用した新規尿流測定装置の有用性

New uroflowmetry measurement by wearable airborne ultrasound continence wave Doppler System

松本 成史, 竹内 康人, 柿崎 秀宏

Seiji MATSUMOTO, Yasuhito TAKEUCHI, Hidehiro KAKIZAKI

旭川医科大学腎泌尿器外科

Department of Renal and Urologic Surgery, Asahikawa Medical University

キーワード :

泌尿器科領域において排尿障害(下部尿路機能障害)の診断や治療法の選択に排尿機能検査である尿流動態(ウロダイナミクス)検査は必要不可欠な検査である.高齢化社会の到来に伴い,排尿障害で受診する患者は増加の一途であり,より自然な排尿状態を的確に診断する必要がある.ウロダイナミクス検査にも様々な種類があり,その中でも尿流測定は,非常に簡易で非侵襲な検査であるが,特殊な環境下での測定であり,普段の自然な排尿を反映しているとは言い難く,「より自然な排尿状態を何時でも何処でも,的確に診断する」装置の必要性が望まれてきた.
われわれは,従来型尿流測定装置の「尿器(便器)の側にセンサ一式を装備する」という思想を廃し,「排尿を行う人体の側に装備され得る,または独立した動作可能な非接触間接計測方式で測定できる」新規尿流測定装置を開発するに至った.この概念を確立するため,この目的に特化した空中超音波CWドプラシステムを開発し,得られた超音波ドプラ信号を時系列周波数スペクトグラムに変換し,観察・計測したところ,従来型尿流測定装置で得られるのと定性的に等価な尿流波形(排尿パターン)を得た.更に周波数スペクトラムの局所重み付け積分等により,排尿量,尿流率等の概略定量も可能となった.現在,指嵌め式にした本装置の製品化・実用化に向けた研究を継続中である.
空中超音波CWドプラを用いることで,より簡単に,より自然に,通常の排尿を何時でも何処でも尿流測定が施行出来,「排尿障害(下部尿路機能障害)を超音波で診る!」ことが可能となった.今回,本装置の概要および有用性について発表する.
なお,本研究は,独立行政法人科学技術振興機構平成23-24年度「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)探索タイプ」(AS232Z01208F)および文部科学省平成25年度「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」の支援を得て実施した.