Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 腎泌尿器
パネルディスカッション 腎泌尿器1尿路結石の超音波診断をもう一度見直そう!

(S407)

診療放射線技師から見た尿路結石の超音波検査

The ultrasonography of the urinary lithiasis from the perspective of radiological technologist

秋山 敏一

Toshikazu AKIYAMA

藤枝市立総合病院診療技術部

Department of Medical Technology, Fujieda Municipal General Hospital

キーワード :

診療放射線技師が携わる尿路結石の主な検査には,腹部単純X線検査(kidneys-ureter- bladder:KUB),静脈性尿路造影検査(intravenous urography : IVU),腹部単純CT検査があり,腹部超音波検査と比較する.
被曝量は,超音波は0mSv,KUBは0.5から1mSv,IVUは1.3から3.5mSv,腹部単純CTは4.5から5mSv(低線量CTは0.9から1.9mSv)である.医療点数は,KUBは210点,超音波は530点,腹部単純CTは1,020点(画像診断料が加わると1,470点),IVUは約1,500から1,800点である.検査時間は,KUBは約5分,腹部単純CTは約5分,超音波は約10分,IVUは約15から30分である.
結石の描出:尿路結石の約90%を占めるカルシウム結石(シュウ酸カルシウム結石,リン酸カルシウム結石)はKUBで石灰化像として描出されるが,骨や消化管ガスとの重なり具合では指摘が困難な場合がある.また,肋軟骨の石灰化や静脈石などとの鑑別を要する.尿酸結石,シスチン結石などは描出できずX線陰性結石と呼ばれている.IVUではX線陰性結石は造影剤の欠損像として指摘できる.CTは結石の種類に関係なく描出でき,異なる2種類のエネルギーで撮影を行うことで,CT値の変化から結石溶解療法の適用となる尿酸結石の鑑別が可能である.
超音波は結石の種類に関係なく描出可能である.尿管腸骨動脈交差部結石が上部尿管から連続して追えない場合は,腸骨動脈を短軸走査し,腸骨動脈を跨ぐ管腔像(尿管)および近傍の石灰化像に注目する.尿管膀胱移行部結石は膀胱内の尿を音響陰影とするため,尿検査は超音波検査後としている.膀胱尿量が少ない場合には,座位にて膀胱内の尿と周囲の消化管ガスを移動させると描出が改善する場合がある.描出が難しい結石は,膀胱にかかる手前の下部尿管結石である.結石描出不良時には,ドプラ法でのtwinkling artifactが一助となる場合がある.なお,結石が指摘できなくても尿路の拡張から尿管結石を疑うことは可能である.
尿路の描出:KUBでは尿路を描出できないが,IVUでは造影により描出でき,腎機能評価もできるが,造影剤によるリスクを伴う.CTは尿路を描出でき,腎盂・尿管の拡張の程度を把握できる.超音波では腎盂・尿管の拡張の程度が分かりエレンボーゲンの分類や腎血流のRI値より腎機能を推測できる.さらに,尿路内の凝血塊,膿瘍,沈渣などをdebris echoとして捉えることができ,尿管の蠕動運動,尿管口からの尿流,溢流の有無も指摘できる.
他疾患:急性腹症において尿路結石が多いが,必ずしも初期診断が尿路結石疑いとは限らず,常に他疾患との鑑別が必要である.KUBとIVUは異常ガス像,異常石灰化像は指摘できる.CTと超音波は尿路結石以外の疾患も指摘できる.
経過観察:KUBはX線陰性結石および尿路の経過観察はできない.IVUおよびCTの経過観察は被曝量とコストが高くなる.超音波は非侵襲で結石および水腎症の経過観察に適している.
超音波は尿路結石の診断から経過観察まで適しており,当院では日当直の24時間体制で対応している.超音波で尿路結石が指摘できない場合には,CTが必要と考える.