Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 コメディカル
パネルディスカッション コメディカル1さまざまな立場の超音波検査士をマネージメントする

(S377)

開業医で働く超音波検査士

The registered medical sonographer who works in medical practitioners

前田 奈緒子

Naoko MAEDA

よしもとブレストクリニック検査

Clinical Laboratory, Yoshimoto Breast Clinic

キーワード :

よしもとブレストクリニックは平成24年2月に開院した乳腺専門のクリニックで,スタッフは院長・看護師・診療放射線技師・臨床検査技師各1名,受付2名の総勢6名である.
【環境】
〜ひとりで大丈夫?ひとりは不安?
業務は超音波検査がメインであるが,心電図検査・血液検査・尿検査・採血などの一般的な臨床検査技師としての業務に加え,診察に付くこともあれば,患者の次回来院の予約も取る.業務独占のある業務と受付以外のことは職種を超えて行い,スタッフ同士が協力し合っている.昨年1年間の超音波検査件数は3,506名であり,これは1日あたり約15名の計算となる.内訳はメインである乳腺エコー1,969名,乳癌肝転移チェックのための腹部エコー1,174名,術前診断や術後経過観察のための乳腺所属リンパ節エコー300名,化学療法や分子標的薬副作用チェックのための心エコー46名,その他甲状腺エコー15名,頸動脈エコー2名である.乳腺専門のクリニックであるが,検査は多岐にわたる.超音波検査を行っているのは1人であるが,患者の症状は看護師,マンモグラフィや胸部レントゲン所見は診療放射線技師が随時伝えてくれる.精密検査が必要と診断,もしくは診断に迷う場合には即座に院長に伝え,画像を一緒にチェックするなど迅速に対応している.チーム医療であり,けっして1人ではない.
【待遇】
〜ひとりで大丈夫?お休み取れるの?
就業規則に則り,学会は抄録提出,発表の条件を満たした場合,外部研修として実費負担の制度がある.昨年はこの制度を使い,日本超音波検査学会学術集会,乳癌学会学術総会に参加した.運動会や授業参観などの子供の学校行事に関しては,全て参加というわけにはいかないが,院長やスタッフの理解と,休暇時に来て超音波検査をしてくれる方々のお陰で,ある程度参加できている.
【精度管理】
〜ひとりで大丈夫?勉強できるの?
昨年1年間で乳癌と診断した68名(再発5名含む)のうち59名は関連病院にて院長が手術を施行し,術後は当院において治療をしている.術前術後の化学療法,分子標的薬治療なども行い,乳癌の診断から治療までを総合的に知ることができる.また患者との距離が近いため,患者の病状や経過を綿密に考慮し,的確な検査が行えるのもクリニックの利点であろう.超音波検査士の本業である超音波診断においても,院内のみならず関連病院の病理医・細胞検査士・超音波検査士など,院外の方々との連携や協力により,広く学べる環境にある.
【おわりに】
開業医の多くは専門科であるので,自分が好きな,あるいは興味がある分野を選択し仕事にできる.専門分野に突起はするものの,職種の枠を超え,病院検査室とは異なった視点で業務を行うことができる.環境・待遇・精度管理ともそれぞれ施設ごとに違いはあるが,院長やスタッフ,院外の方々との連携や協力が可能であれば,臨床検査技師(超音波検査士)が例え1人であろうとも問題はない.超音波検査士の活躍の場はさまざまであるが,この発表により,開業医が選択肢のひとつとなれば幸いである.