Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 コメディカル
パネルディスカッション コメディカル1さまざまな立場の超音波検査士をマネージメントする

(S376)

病院で働く超音波検査士をマネージメントする

A Sonographer’s obligation of management: In the case of a hospital Sonographer

高橋 秀一

Shuichi TAKAHASHI

社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院医療技術部

Department of Medical Technology, Saiseikai Chuwa Hospital

キーワード :

【RMS資格取得の今昔】
1985年(昭和60年)は,臨床検査技師として6年目で総合病院であるがゆえ部内ローテションの中やっと超音波検査に専従できた春であった.超音波医学会や超音波検査学会の存在は知っていたが,この年に入会しようと決めていた.ところが,この年6月8日に第1回超音波検査士(RMS)試験が開始された.事前に認定に関する情報を得ることができなかったことの残念さは今でも鮮烈に覚えている.すぐさま入会し,第4回の試験でRMSの資格を取得した.制定当初は自らがその情報を探して,さらに過去問題集や解説書もなく当然講習会もない時代なので孤独に勉強したものである.
今は.超音波検査室に配属が決まるやいなや先輩技師から「3年後にはRMSを取得するために」と言われ,自分の意思ではない部分でRMS取得の準備が進められている.精神論的なことかもしれないが能動取得と受動取得では,同じRMS資格でも「質」が違うように思う.
【RMS認定取得の効果と課題】
現在の医療現場において超音波検査の果たす役割は大きく,その多くがRMSの手に委ねられていることは紛れもない事実である.検診施設と病院,大学病院と市中病院などそれぞれの医療現場によりRMSに求められるものは異なるが,日常における膨大な検査件数をこなすための単なる労働要員ではないことはどこでも同様と考える.ただRMSの資格を取るだけでなく,より以上の能力を発揮して超音波検査の信頼度をさらに高めることを期待しているであろう.超音波検査の質を担保することはRMSの質を維持することでもあり,質が保証されたRMSを育てなければならない.RMS取得は,ゴールではなくスタートであることを強調したい.ところが,大半のRMSは取得で一安心し,そのままが多いように思う.RMS取得後も学会に在籍するためだけに会費を納入し,更新クレジットのためだけに学会や研修会に参加するのでは成長しない.演者が勤める施設では,前職を含めてRMS取得による給与の上乗せや学会年会費の援助は全く無く,待遇もなんら変化はない.
【21世紀型のRMS】
21世紀の医療現場が必要とするRMSは,チーム医療の一員として主体性と積極性を持ち,「医師と対等に論議できる」,「医師に対して診療支援のみならず研究支援が出来る」,「研修医や看護師を対象に超音波検査に関する教育支援が出来る」,「若い技師の教育・育成が出来る」であろう.医療の質・効率を向上させるために必要な検査システムの最適化や新たな検査診断法の確立に取り組むRMSが,存在感を増さねばならないし,日中にいくら立派な仕事をしていても進化はしない.救急医療における超音波検査は,24時間体制が必要であり各病院の検査環境と労働環境は変化しつつある.超音波検査を時間外業務としてすでに取り組んでいる施設も多い.時間外救急では,診断をつけるための検査が多いが,整然とした記録を残すために積極的にRMSで行うという時代が必ずや到来する.
【マネージメント】
演者は昨年,天理よろづ相談所病院から済生会中和病院に転職した.地域に密着した中核病院である.循環器内科や心臓血管外科,小児循環器科などの専門科は無い.しかし,確実に心エコー検査件数は増えている.内科医に対して,心エコー検査でわかることからはじまり,「こういう場合には是非ご相談ください」と勉強会を企画したことが功を奏した.また,検査が終了した患者を迎えにきた看護師には,「この検査でこんなことがわかったよ.」とミニ講義をしている.これにより,次に展開される治療が見えてきたと好評である.