西村 剛志, 小松 正規, 折舘 伸彦

Goshi NISHIMURA, Masanori KOMATSU, Nobuhiko ORIDATE

横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Otorhinolaryngology, Head and Neck Surgery, Yokohama City University School of Medicine

キーワード :

【目的】
化学療法併用放射線治療（CCRT）が頭頸部扁平上皮癌（HNSCC）進行例に対し施行される機会が増えている．頸部リンパ節の制御は予後に関与するためCCRT後の治療効果判定は救済手術の判断に重要な役割を担う．CCRT後の頸部リンパ節転移の予後判定を，治療終了直近の評価方法でどの程度予測可能かを検討した．
【対象】
2002年1月から2012年4月まで当科でCCRTを施行し，治療前後に頸部CT・MRI，頸部超音波検査（US），FDG-PETまたはPET-CTを施行した頸部リンパ節転移陽性のHNSCC新鮮例で，治療終了後6ヵ月以上の生存が確認された症例または6ヵ月未満に死亡が確認された症例を対象とした．一部の症例には治療評価方法として穿刺吸引細胞診（fine needle aspiration cytology：FNAC）を施行した．N分類は2009年版Union for International Cancer Control（UICC）に準拠した．
【方法】
頸部リンパ節転移を有するHNSCC症例に対しCCRT施行後，4-8週間後に画像検査および細胞診を施行しCR群とno-CR群に2分し治療終了6か月後の臨床経過と比較することで検査精度を評価した．
【結論】
感度，特異度，陽性的中率，陰性的中率，精度はそれぞれCT・MRIで66.7％，73.5％，26.7％，93.8％，72.5％，頸部超音波検査（US）で91.7％，69.9％，30.6％，98.3％，72.6％，FDG-PET/PET-CTで50.0％，96.4％，66.7％，93.0％，90.5％，細胞診で68.4％，96.1％，81.3％，92.5％，90.6％であった．CCRT後の頸部リンパ節転移への治療効果判定にはUSが陽性スクリーニングとして，FDG-PET/PET-CTが陰性スクリーニングとして有用であった．これらの検査結果が臨床経過と乖離した場合は高精度検査である細胞診を併用し診断能力の向上が可能と考えられた．