英文誌(2004-)
特別企画 甲状腺・副甲状腺
シンポジウム 甲状腺・副甲状腺2超音波で迫る副甲状腺(形態,組織,病態,機能まで)
(S357)
超音波でわかる副甲状腺機能亢進症
Analysis of parathyroid gland mechanism using ultrasonic diagnostic
金井 厳太
Genta KANAI
東海大学医学部内科学系腎内分泌代謝内科
Division of Nephrology and Metabolism, Tokai University School of Medicine
キーワード :
慢性腎臓病(chronic kidney disease : CKD)ではビタミンD活性化やカルシウムとリンを含むミネラル代謝に障害をきたした結果,骨障害や二次性副甲状腺機能亢進症(secondary hyperparathyroidism : SHPT)を生じることになる.近年,この病態が生命予後やquality of lifeに影響を与えることから,新たな疾患概念として慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常(chronic kidney disease-mineral and bone disorder : CKD-MBD)が提唱された.2012年の日本透析医学会CKD-MBD診療ガイドラインの中で,副甲状腺インターベンションの適応と方法において,画像診断で判別できる副甲状腺サイズによる組織の推定と治療法の選択に関して超音波検査の必要性が記載されている.
SHPTを有する透析患者では,長期に副甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌が続くと,副甲状腺はびまん性過形成から結節性過形成へと進行する.結節性過形成の存在は副甲状腺のサイズによって推定され,推定体積500mm3以上または長径1cm以上の腫大腺では結節性過形成の可能性が高い.結節性過形成は増殖能が高く,ビタミンD受容体(VDR),カルシウム感知受容体(CaSR)の発現が低下しており上記の大きさ以上の腫大腺を有する症例では活性型ビタミンDを中心とする内科的治療に抵抗性を示す.病巣腺が1腺の場合には経皮的エタノール注入療法(PEIT)が有効であることも報告されており治療法選択には副甲状腺のサイズ情報は極めて重要である.また,病理学的に結節性過形成であり,PTH分泌能が高ければ内部の血流量が多くなる.ドプラで血流分布を評価することによりPTH分泌量が把握できる.
このセッションでは,副甲状腺における超音波診断を中心とした画像診断について,機能評価から治療支援までの可能性につき概説する.