福島 俊彦⁴, 鈴木 眞一⁴, 鈴木 悟⁴, 志村 浩己¹, 中野 恵一⁴, 緑川 早苗², 大津留 晶², 山下 俊一³, 阿部 正文³

Toshihiko FUKUSHIMA⁴, Shinichi SUZUKI⁴, Satoru SUZUKI⁴, Hiroki SHIMURA¹, Keiichi NAKANO⁴, Sanae MIDORIKAWA², Akira OTSURU², Shunichi YAMASHITA³, Masafumi ABE³

¹福島県立医科大学臨床検査医学講座, ²福島県立医科大学放射線健康管理学講座, ³福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター, ⁴福島県立医科大学甲状腺内分泌学講座

¹Department of Laboratory Medcine, Fukushima Medical Iniversity, ²Department of Radiation Health Management, Fukushima Medical University, ³Radiation Medical Science Center for the Fukushima health management survey, Fukushima Medical University, ⁴Department of Thyroid endocrinology, Fukushima Medical University

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東日本大震災により生じた，東京電力福島第一原発事故による低線量被ばくに対する健康影響について，我々は継続的に県民の健康管理に取り組んでいる．チェルノブイリ原発事故で報告された小児甲状腺癌の発生等の小児の長期健康管理に関する問題は多くの保護者の関心事であり重要課題のひとつである．そこで我々は，2011年10月から，福島県内の18歳以下の小児38万人を対象とした，甲状腺超音波検診を進めている．また，2012年11月1日からは，県外居住中の対象者に対し，福島県外の検査実施機関においても甲状腺検査を実施している．
2013年9月30日時点で，受診者は238,785名（対象者の82．4％）であり，結果が確定した225,537名のうち，5.1mm以上の結節は1,541名（0.7％），5.0mm以下の結節は1,169名（0.5％），20.1mm以上の囊胞は11名（0.0％），20.0mm以下の囊胞は102,583名（43.5％）であった．
5.1mm以上の結節，20.1mm以上の囊胞に関しては，2次検査として，ハイエンド機種での超音波検査，甲状腺機能，サイログロブリン，甲状腺自己抗体，尿中ヨウ素を測定している．2次検査対象者1,559名のうち73.6％の受診があった．超音波所見に基づき，さらに甲状腺超音波診断ガイドブックの「充実性病変の超音波診断フローチャート」に則り，診療方針を決定し，細胞診を施行したものは，277例であった．その結果，悪性ないし悪性疑いは59例であり，内訳は，男性25例，女性34例，平均年齢16.8±2.6歳，平均腫瘍径　14.9±8.3mmであった．
2014年3月までに，第1回目の検査を終了し，4月から本格検査として第2回目の検査を施行する予定である．
【謝辞】
本事業には，多くの先生方，技師さんのご支援を頂いております．誌面をお借りして深謝申し上げます．