Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 甲状腺・副甲状腺
シンポジウム 甲状腺・副甲状腺1小児甲状腺結節の超音波診断

(S352)

小児甲状腺乳頭癌の臨床病理学的検討

Clinicopathological assessment of pediatric papillary thyroid carcinoma

福島 光浩1, 小林 薫1, 太田 寿2, 藪田 智範1, 廣川 満良3, 網野 信行4, 宮内 昭1

Mitsuhiro FUKUSHIMA1, Kaoru KOBAYASHI1, Hisashi OTA2, Tomonori YABUTA1, Mitsuyoshi HIROKAWA3, Nobuyuki AMINO4, Akira MIYAUCHI1

1隈病院外科, 2隈病院臨床検査科, 3隈病院臨床病理科, 4隈病院内科

1Department of Surgery, Kuma Hospital, 2Department of Clinical laboratory, Kuma Hospital, 3Department of Pathology, Kuma Hospital, 4Department of Internal medicine, Kuma Hospital

キーワード :

【背景】
小児甲状腺癌は稀な疾患である.今までの報告では成人と同様に乳頭癌の頻度が高く,通常型乳頭癌のほかに充実型(solid variant)びまん性硬化型,篩状・モルラ型といった特徴的な亜型が見られることが知られている.
【対象・方法】
1991年から2010年の20年間に当院で手術された症例から20歳以下の症例243例を抽出し再検鏡しその臨床病理学的所見を検討した.
【結果】
甲状腺乳頭癌は175例あり,その組織亜型は通常型139例(79.4%),びまん性硬化型9例(5.1%),充実型(solid variant)8例(4.6%),篩状・モルラ型6例(3.4%)の順だった.①びまん性硬化型乳頭癌は甲状腺内に明らかな結節を形成しないのが大きな特徴である.癌細胞の甲状腺内へのびまん性浸潤,甲状腺内のリンパ管内に多数の腫瘍塞栓,著名な扁平上皮化生,多数の砂粒小体,優勢なリンパ節浸潤と線維化が特徴である.②充実型乳頭癌はWHO分類で乳頭癌の典型的核所見を持った腫瘍細胞のシート状充実性に増殖する部分が大半を占めると記載されている亜型である.日本の甲状腺癌取り扱い規約にはこれに相当する亜型はなく,日本では低分化癌や濾胞型乳頭癌と診断されているものと推測される.WHO分類の記載によればsolid variantは子供に多く,放射線被曝との関連もあるとされている.③篩状・モルラ型は散発性発生とともに家族発生例が認められ,家族発生例は家族性大腸ポリポーシス(familial adenomatous polyposis: FAP)の一部分症としてAPC遺伝子の異常が確認されている.組織学的には濾胞構造,篩状構造を示し,腔の内部にはコロイド物質を欠いているのが特徴である.それぞれについて,超音波所見を中心に臨床病理的な特徴について検討し報告する.