網岡 愛¹, 舛本 法生¹, 角舎 学行¹, 宇津内 陽子², 梶谷 桂子¹, 恵美 純子¹, 重松 英朗¹, 春田 るみ¹, 片岡 健¹, 岡田 守人¹

Ai AMIOKA¹, Norio MASUMOTO¹, Takayuki KADOYA¹, Yoko UZUUCHI², Keiko KAJITANI¹, Akiko EMI¹, Hideo SHIGEMATSU¹, Rumi HARUTA¹, Tsuyoshi KATAOKA¹, Morihito OKADA¹

¹広島大学病院乳腺外科, ²広島大学病院診療支援部

¹Breast Surgery, Hiroshima University Hospital, ²Department of Medical Support, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【背景】
Sonazoid^®を用いた造影超音波検査（Contrast-enhanced ultrasonography : CEUS）は腫瘍内血流のリアルタイムな描出が可能であり，良悪の鑑別や薬物治療効果判定等に有用である．我々はSonazoid^®の輝度を定量化し術前化学療法（Neoadjuvant chemotherapy : NAC）の効果判定にCEUSが有用かを検討した．
【方法】
2012年10月〜2013年9月までにNACを完了し手術を行った21症例22結節（49±9.9歳）の浸潤性乳管癌を対象とした．CEUSはHI VISION ASCENDUS（Hitachi Aloka Medical Corp．）を用い，手術前日にSonazoid^®を静注後，病変上に50秒間プローブを固定し評価した．客観的評価方法として輝度の強さと時間変化を表すTime Intensity Curve（TIC）を作成し，①最高輝度（Peak intensity：PI），②最高輝度到達時間（Rising time：RT），③流入速度（Wash-in slope：WIS）の3種類のパラメータを以下のように定めた．①PI：（ピーク時の輝度値）−（造影剤が腫瘍に流入する直前の輝度値），②RT：造影剤が腫瘍内に流入開始してからピークに到達するまでの時間，③WIS：PI／RT．病理学的完全奏効（pCR）は原発巣に浸潤癌成分の残存がないこととした．臨床学的完全奏効（cCR）の定義は，（1）造影MRI：濃染される腫瘤・領域が同定されない，（2）PET-CT：病変部が周囲乳腺とSUVmaxに差がない，（3）US：単純B-mode USで腫瘍が描出されないこととした．22結節に対し，病理学的効果判定に対する予測因子を検討するためROC curveを作成した．US+CEUSの臨床学的効果判定を行い，pCR予測における感度，特異度，正診率を算出した．
【結果】
22結節中6結節がNACによりpCRとなった．各パラメータのcut off値は，PI：25.8，RT：10.6，WIS：1.8となり，US+CEUSのcCR，non-cCRを判定した結果，PI，RT，WISいずれも感度100％（95％CI：60.7 - 100），特異度87.5％（61.7 - 98.4），正診率90.9％（70.8 - 98.9）であった．一方，造影MRIでは，感度，特異度，正診率はそれぞれ50.0％，87.5％，77.3％，PET-CTでは100％，56.2％，68.2％，USのみでは16.7％，100％，77.3％であった．
【考察】
US+CEUSによる術前化学療法後の効果判定では，他のモダリティと同等以上の感度，特異度，正診率を示した．このことから，Sonazoid^®造影超音波検査はTICを作成し造影効果のパラメータを設定して数値化することにより，NAC後のpCRを予測出来ると考えられた．