牧志 綾

Aya MAKISHI

兵庫県立こども病院産科

Feto-Maternal Center, Hyogo Prefectural Kobe Children’s Hospital

キーワード :

胎児超音波検査は，妊娠週数・胎児数の確認，発育評価，胎児形態異常の検出などに用いられ，妊娠初期から分娩期に到るまで，胎児の状態を把握するための重要なツールである．わが国では，主に胎児発育評価や愛着形成の目的で，妊婦健診の度に習慣的に胎児超音波検査が行われている事が多いが，その医学的有用性については示されていない．しかし，出生前に胎児異常が認識されているかどうかで児の予後が左右されることもあり，限られた時間と医療資源の中で，胎児期・新生児期早期に対応が必要な児を効率よく把握するには，系統だったスクリーニング検査が必要である．わが国では，胎児心エコーガイドラインの他は明確な指針は設けられておらず，胎児診療分野におけるspecialistが推奨する方法や海外主要学会（American Institute of Ultrasound in Medicine，International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology等）のガイドラインを参考に各施設の判断で行われている．胎児スクリーニング検査の現状について概説する．