Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ 消化器1肝癌治療支援としての超音波技術

(S323)

肝細胞癌に対するRFA治療支援としてのVirtu TRAXの有用性

Efficasy of percutaneous radio frequency ablation therapy using VirtuTRAX

葛谷 貞二, 石上 雅敏, 荒川 恭宏, 山田 恵一, 石津 洋二, 本多 隆, 林 和彦, 石川 哲也, 後藤 秀実

Teiji KUZUYA, Masatoshi ISHIGAMI, Tomohiro ARAKAWA, Keiichi YAMADA, Yoji ISHIDU, Takashi HONDA, Kazuhiko HAYASHI, Tetsuya ISHIKAWA, Hidemi GOTO

名古屋大学消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University

キーワード :

【目的】
穿刺治療支援アプリケーションであるVirtuTRAXTM(GE Healthcare社,USA)は,磁気センサーで針先端の位置を認識し,超音波画像上に仮想の穿刺針の先端および穿刺ラインを表示することが可能となる機能である.我々は,原則2ステップ法によるRFAを施行しているが,通常のRFAよりも針先端の位置調節を行う機会が多い手技であり,とくに一旦バブルが生じるとその後の治療過程において針先端の位置確認が困難となる場合が少なくない.今回我々は,2ステップ法におけるVirtuTRAXTMによる針先端の位置確認の有用性を検討した.実際の穿刺針先と仮想針先表示の位置ずれについても評価した.
【対象】
2012年10月から2013年9月までにVirtuTRAXTMを用い2ステップ法にてRFAを施行した肝細胞癌患者24例を対象とした(30結節,長径8-30mm).超音波装置はLOGIQ E9,治療穿刺針はCool-tip針を使用した.VirtuTRAXTMのポジションセンサーは外筒針の根元に取り付け,センサーから直角方向の仮想針先までの距離として15cm(外筒針先端に相当)および18cm(Cool-tip針先端に相当)を登録した.
【結果】
穿刺ラインと横方向の位置ずれは,外筒針が肝表面を貫く際,仮想穿刺ラインが一時的にずれるケースがみられた.呼吸性変動や針先端の位置調節時に,1-5mm程度ずれるケースがみられたが,いずれのケースもほぼ平行なずれであった.一方,縦方向の位置ずれは,外筒針と肝表面とのたわみがとれた後は,いずれの治療過程においてもそれぞれの穿刺ライン上での体表からの距離は一致し,縦方向の位置ずれが問題となるケースはなかった.とくに,Virtu TRAXによる仮想針先表示は焼灼で生じたバブルの影響で腫瘍が高エコーとなった後の治療過程において,外筒針先端の位置調節する際に有用であった(腫瘍の手前側の追加焼灼,肝表面の焼灼,肝表面への再挿入の際など).また,針先の奥に他臓器(心臓,大腸など)が存在する場合は,焼灼中に仮想針先をCool-tip先端と設定し針先端が安全な位置にあることを確認しながら治療が可能であった.近接臓器への焼灼の影響による合併症も現在のところ1例も認めていない.
【結語】
VirtuTRAXTMによる仮想針先表示は,安全に確実に局所制御を得るためRFA治療において有用と考えられた.とくにバブルが生じた後,針先端位置の確認が困難となった場合でも,安心して針先端位置の調節や確認が可能であった.