Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ 消化器1肝癌治療支援としての超音波技術

(S322)

Volume Navigationを用いた肝癌RFA治療

Liver cancer RFA treatment using Volume Navigation

佐野 隆友, 今井 康晴, 森安 史典

Takatomo SANO, Yasuharu IMAI, Fuminori MORIYASU

東京医科大学病院消化器内科

Gastroenterology&Hepatology, Tokyo Medical University

キーワード :

【目的】
近年,磁気位置検出ユニットを用いることにより2次元の超音波画像に3次元の位置情報を表示する機能(Volume Navigation)が開発され,肝癌の診断・治療に応用されている.Volume Navigationではリアルタイムの超音波断層画像に対する仮想断層画像として,以前に撮影されたCT,MRIのDICOMデータや直前に取得された超音波volumeデータ(True3D)を使用することが出来る(Fusion).また,RFA穿刺針にセンサーを取り付けることで,超音波画像上に仮想の針穿刺方向及び針先位置を表示させるVirtuTRAXを利用することが出来る.今回,Volume Navigationを用いた超音波ガイド下の肝癌Radiofrequency ablation(RFA)治療の有用性を報告する.
【方法】
対象はGEヘルスケア社製LOGIQE9に搭載されたVolume Navigationを用いて超音波ガイド下に肝癌RFA治療を行った46例(男性31例,女性15例,平均年齢73.4歳,肝細胞癌40例,転移性肝腫瘍6例),62結節(平均腫瘍径2.8cm)である.FusionにCT/MRIを用いたのは18例,超音波volumeデータは20例であった.VirtuTRAXは33例に対して使用した.8例に対してGEヘルスケア社製Advantage Workstationを用いてCT/MRIから穿刺位置をsimulationした画像のDICOM dataでFusionを行いながらRFAを施行した.
【結果】
(1)CT/MRIのDICOMデータを用いたFusionを行うことで,超音波描出不良病変の検出だけでなく,穿刺経路及び病変付近の血管,消化管などの3次元的位置関係を把握することが出来た.(2)超音波volumeデータを用いたFusionでは,あらかじめvolumeデータ内の病変にマーキングを行い,術中Overlayすることで治療域の3次元的monitoringを行うことができた.(3)VirtuTRAXでは穿刺時に針先から15cmの位置にブラケットを装着することで,針のたわみによる穿刺ラインの位置ずれを少なくすることが出来た(Step-tracking Method).(4)VirtuTRAXでは専用のneedle guideにStep-tracking Methodを用いることでangle free穿刺も可能であった.(5)画像解析workstationを用い,術前にsimulationを行うことで,より詳細な血管と腫瘍の位置関係や,隣接臓器と腫瘍の関係を検討することが可能となり,より安全な穿刺ルートの確保に有用であった.(6)画像解析workstationで検討した穿刺ラインをCT/MRIの画像内にマーキングしたDICOMデータを用いてFusionを行うことで,RFA治療中のnavigationも可能であった.
【結語】
超音波ガイドの肝癌RFA治療において,Volume NavigationはRFA治療中を含めた腫瘍位置の確認,穿刺針の穿刺方向および針先位置の確認の他,術前simulationの結果をnavigationとして用いる場合において有用であった.