Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
ワークショップ 消化器1肝癌治療支援としての超音波技術

(S321)

仮想超音波およびフュージョン機能を用いたRFA前の簡便なシミュレーション方法

The usefulness of simulation technique with virtual ultrasound application and fusion technology for preoperative RFA

小川 力

Chikara OGAWA

高松赤十字病院消化器内科

Dvision of Gastoroenterology and Hepatology, Takamatsu Red Cross Hospital

キーワード :

HCCの治療としてRFAが占める割合は大きいが,治療成績に加え,周辺臓器と血管を避けた穿刺ラインによる安全性が重要である.またHCCの多くは肝硬変を背景肝に発症することが多く,治療結節と近傍の再生結節や過去の治療結節との位置関係の理解に時間がかかることも多い.今後の技術認定制度に向けては指導者が,上記の問題点を初心者にも分かり易く,可能であれば同時に何人かの初心者と共有できる教育システムが必要不可欠と考える.上記の教育システムとしてRVS,V-NAVI,smart-fusion等は非常に有用ではあるが,ハイエンドなUS機が必要であり,設定がやや煩雑であることと,基本的に患者さんがいる状態で1人の術者しか施行できない問題点がある.
今回我々はFUJIFILMより開発された,3次元画像解析システムボリュームアナライザー SNAPSE VINCENTのアプリケーションソフトである仮想超音波解析機能を用いて,上記の問題点を解決しているため実際の設定画面を含め動画で報告する.
まず通常用いている電子カルテのCTやMRIの画面よりVINCETの仮想超音波ソフトを立ち上げ腫瘍と血管との位置を確認し,周辺臓器に加え,腫瘍がグリソンに近い場合は胆管の走行も確認し,合併症が少ないと考えられる肋間でのプローブの位置を術前に把握することを行った.続いて実際の超音波の画面で予想される穿刺ラインを腫瘍から肝表面まで連続画面で確認し,円形に焼灼されるCool-tipの焼灼範囲を予想したうえで,焼灼範囲内にグリソンが含まれていないことを確認するシミュレーションを行った.
なお必要に応じ仮想超音波の画面上の門脈,肝静脈のそれぞれに違うカラーをつけて描出し,実際のプローブスキャンの動きでのそれぞれの血管と腫瘍との位置関係をより明瞭に理解することも可能も行った.
上記の仮想超音波ソフトを用いたシミュレーションは5分ほどで作成可能で,カラーでの血管表示を加えても10分前後で非常に簡便で有用と考えられる.また患者さんがいなくても行え,数人の初心者が同時に画面を観察し指導することも可能である.なお上記の方法は術中US,術中RFAにも同様に応用できる方法で,内科だけではなく外科症例にも応用が可能と考える.
当院では実際のRFAの際は,上記に加えリアルタイム性に優れたナビゲーションシステム(LOGIQ E9のV-NAVIまたはAscendusのRVS)を用いて,腹部超音波検査で確認を行い,可能な限りシミュレーション通りのラインでの焼灼を試み治療を行い,これまで重篤な出血,Biloma等の合併症は経験していないためその方法を報告する.