Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
パネルディスカッション 消化器1肝Elastographyに影響を与える因子

(S313)

黄疸が肝Elastographyにおよぼす影響〜心拍動Strain Elastographyによる前向き研究〜

Evaluation of liver stiffness without liver fibrosis

和久井 紀貴1, 2, 武田 悠希1, 児島 辰也1

Noritaka WAKUI1, 2, Yuki TAKEDA1, Tatsuya KOJIMA1

1東京労災病院消化器内科, 2東邦大学医療センター大森病院消化器内科

1Gastroenterology and Hepatology, Tokyo Rosai Hospital, 2Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【目的】
肝Elastographyに影響を与える因子として線維化が代表的であるが,その他の因子についてはまだ不明な点が多い.今回,我々は閉塞性黄疸が肝Elastographyにおよぼす影響について前向きに検討を行った.
【方法】
2013年4月から11月までに結石や腫瘍により閉塞性黄疸を来し入院した患者を対象とした.入院後,減黄術を行う前の黄疸期に超音波検査を施行.その後,適切な減黄術を行い,黄疸改善後に再度超音波検査を行った.閉塞性黄疸の基準は総ビリルビン値5.0 mg/dl以上を対象とし,改善期は総ビリルビン値が正常上限2倍以内まで改善したものとした.超音波検査はGEヘルスケアジャパン社製 LOGIQ E9 XDclearと3.5 MHZコンベックスプローブ(C1-6)を使用し,右肋間走査から心拍の検出する断面で肝表から5 cmのところに横2 cm×縦4 cmのROIをおき,ひずみの絶対値をカラーマッピングする機能であるStrain Elastography(S-Map)により,ひずみ画像を取得した.尚,症例間でのエラストグラフィーの設定(周波数やストレインスケール等)は固定し,心拍動により最もひずみが生じたフレームを代表フレームとした.また画像から算出される半定量的解析値(Strain Index)を計5-7回測定し,その平均を求めた.
閉塞原因については超音波やCT,MRI等の画像検査所見,および血液生化学検査を加味して総合的に判断した.本研究は当院倫理委員会の承認のもと全症例,文章にて同意を得て行った.
【結果】
エントリーは7症例であった.そのうち1症例は減黄術後に敗血症を併発し,入院7病日に死亡したため減黄後まで超音波検査を施行し得た6症例が対象となった.内訳は男性3例,女性3例,平均年齢は84歳.原因疾患は総胆管結石が3例,膵頭部癌が2例,胆管癌が1例.黄疸期の総ビリルビン値は6.7 mg/dl(5.0-8.7),直接ビリルビン値5.5 mg/dl(4.3-7.2)であった.黄疸期のStrain Indexは33.5で改善期は48.9であり,改善期に比べて有意に黄疸期の関心領域内のひずみの絶対量が低下しており,硬いことを示唆する結果であった(p=0.043).
【結語】
閉塞性黄疸は肝Elastographyに影響をおよぼす因子の一つである可能性が示された.