Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
シンポジウム 消化器3消化器領域における3次元超音波診断の現状と展望

(S303)

超音波を用いた三次元画像の現状

Overview of diagnostic ultrasound 3D imaging

橋本 浩

Hiroshi HASHIMOTO

GEヘルスケア・ジャパン株式会社超音波製品開発部

Ultrasound General Imaging Japan, GE Healthcare Japan Corporation

キーワード :

1970年代に初の三次元超音波診断装置が上市され,その後の技術の進歩によって広く臨床の現場で使用されるようになった.超音波三次元画像処理は,データの取得,取得データの処理,処理結果の表示という3つのステップからなる.
1)データの取得
ボリュームデータを取得するためには,一般のプローブに何らかの位置センサを取り付けて用手的に動かす方法,機械式にプローブを移動させる方法,および二次元アレイを用いて電気的に走査する方法がある.ただし,いずれの方法も,通常の二次元画像よりずっと広範囲の情報が必要であり,二次元画像と同じように送受信すると,1つのボリュームデータを取得するのに何秒もかかってしまう.ボリュームレートを上げるためには出来るだけ少ない送信回数で画像を再構成する必要がある.
2)データ処理
得られたデータは,表示に合わせて画像再構成される.技術的には,最大値(もしくは最小値)投影処理(MIP),Surface Rendering,Volume Renderingなどの処理方法があり,それらの組み合わせも考えられる.最近では,光源を考慮して再構成することで,よりリアルな画像を表現することが可能になっている.最近のコンピュータの進歩に最も恩恵を得たのは,この部分であり,リアルタイムで画像再構成可能な機種も存在する.
3)結果表示
三次元画像と言っても,それが表示され,検者が見るのは二次元のモニタ上である.近年では,立体視可能な3Dモニタが比較的安価で入手できるようになり,また,専用眼鏡を用いて仮想現実表示で患者さんの体の上や内視鏡像に断層像を重ねる研究も進んでいる.今後,必要な領域には広まっていくと考える.
また,3Dプリンタも現実的な価格になっており,取得したボリュームデータから容易に臓器モデルが作成できるようになる日もそう遠くはないだろう.

このように,技術側は日々進歩し,心腔と心筋,羊水と胎児のように境界が明瞭な,循環器と産科領域においては,三次元画像が一般的に使用されるようになっている.しかし,本シンポジウムのテーマである消化器領域においては,残念ながらそこまで広まっていないのが現状である.どのような情報を提供できたらこの領域の臨床に役立つのか,先生方のご意見・ご要望をお聞かせください.