Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 消化器
シンポジウム 消化器2腹部スクリーニング検査におけるカテゴリー分類の問題点

(S299)

肝細胞癌および胆嚢癌におけるカテゴリー分類の有用性と課題

Usefulness and problems of categorial evaluation by ultrasonography in the surveillance of hepatocellular carcinoma and gallbladder cancer

関 康1, 小来田 幸世2, 澤井 良之2, 井倉 技2, 福田 和人2, 森本 修邦3, 柴田 邦隆3, 比嘉 裕次1, 一樋 政宏1, 今井 康陽2

Yasushi SEKI1, Kogita SACHIYO2, Yoshiyuki SAWAI2, Takumi IGURA2, Kazuto FUKUDA2, Osakuni MORIMOTO3, Kunitaka SHIBATA3, Yuji HIGA1, Masahiro ICHIHI1, Yasuharu IMAI2

1市立池田病院放射線科, 2市立池田病院消化器内科, 3市立池田病院消化器外科

1Department of Radiology, Ikeda City Hospital, 2Departement of Gastroenterology, Ikeda City Hospital, 3Departement of Gastroenterological surgery, Ikeda City Hospital

キーワード :

【目的】
日本消化器がん検診学会超音波部会カテゴリー分類の肝細胞癌と胆嚢病変の診断における有用性と課題について検討した.
【対象】
1)肝細胞癌:当院にて肝切除術或いは肝生検にて組織学的に診断した肝細胞癌(以下HCC)94結節(高分化型HCC48結節,中低分化型HCC46結節,腫瘍径は15mm以上68結節,15mm未満26結節)を対象とした.2)胆嚢病変:当院において開腹胆嚢摘出術或いは腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,組織学的に診断した胆嚢良性病変54例及び胆嚢癌15例(胆嚢polyp45例,papillary hyperplasia1例,胆嚢腺腫7例,黄色肉芽腫性胆嚢炎1例,早期胆嚢癌7例,進行胆嚢癌8例)を対象とした.
【方法】
術前に施行されたUSのBモード静止画若しくは動画を,消化器内科専門医1名,診療放射線技師1名のconsensus readingにて読影し,判定基準に沿ってカテゴリー分類をおこなった.使用装置はAplio XV,Aplio XG,Xalio,LOGIQ7,LOGIQE9.
【結果】
1)肝細胞癌:94結節のカテゴリーはそれぞれ,3;20結節(21.3%),4;33結節(35.1%),5;41結節(43.6%)であった.腫瘍径15mm以上のものは,カテゴリー4;31結節(33.0%),5;37結節(39.4%)と全結節の72.4%を占めた.腫瘍径15mm未満のものでは,カテゴリー3;20結節,4;2結節,5;4結節で,76.9%がカテゴリー3に属した.組織分化度別では,高分化型HCCではカテゴリー3;15結節(31.2%),4;19結節(39.6%),5;14結節(29.2%)であった.中・低分化型HCCではカテゴリー3;5結節(10.9%),4;14結節(30.4%),5;27結節(58.7%)であった.2)胆嚢病変:69例のカテゴリーはそれぞれ,2;12例(17.4%),3;14例(20.3%),4;33例(47.8%),5;10例(14.5%9であった.良性病変では カテゴリー2;12例,3;14例,4;26例,5;2例で,悪性病変ではカテゴリー4;7例,5;8例であった.
【考察】
1)組織学的に診断したHCCの72%が15mm以上のHCCで,カテゴリー4,5に分類され,拾い上げに有用であった.一方,15mm未満の7割がカテゴリー3に属し,組織分化度別では高分化型HCCに3が多く見られたが,中・低分化型HCCの中にもカテゴリー3に属するものが見られた.びまん性病変のカテゴリー分類3と充実性病変分類の3が同時に存在する病変を4と同等に判断することにより更に精度は増すと考えられるが,最近F1-2の慢性肝炎からの発癌も増加しており,カテゴリー3の充実性病変の精査をどのように進めていくかが今後の課題と考えられた.2)胆嚢癌はすべてカテゴリー4,5に分類され,カテゴリー2,3はすべて良性病変であり,カテゴリー分類は胆嚢癌の拾い上げに有用であった.一方,悪性疑いとされるカテゴリー4に良性病変も多く含まれ,今後の検討課題と考えられた.
【結語】
日本消化器がん検診学会超音波部会カテゴリー分類は,肝細胞癌および胆嚢癌の拾い上げに有用と考えられた.肝細胞癌の診断にはびまん性病変の合併を考慮した分類も必要と考えられた.