椎名 由美

Yumi SHIINA

聖路加国際病院循環器内科

Department of Cardiology, St.Luke’s International Hospital

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心臓の発生を理解することで，先天性心疾患の理解が深まることは明白である．しかし，小児循環器科医でない限り発生学を勉強する機会はなく，また初学者向けのテキスト等がないため，難解な専門用語と格闘しながら発生学を理解しなければならないのが現状である．近年，成人先天性心疾患を循環器内科医も診療するようになりつつあるが，ほとんどの循環器内科医・検査技師は心臓の発生についての知識はない．容易に必要な部分の知識のみを習得できれば，明日からの臨床診療・エコー検査に非常に役立つであろう．
このシンポジウムでは成人先天性心疾患初学者を対象に，①心房中隔欠損・心室中隔欠損・心内膜症欠損・右室二腔症・Ebstein奇形等の代表的な成人先天性心疾患（二心室修復可能な疾患）の発生を中心にわかりやすく解説する．②総肺静脈還流異常・部分肺静脈還流異常・三心房心は個別の疾患でなく，肺静脈発生異常疾患群であることを解説する．③また，小児循環器医はよく知っているが循環器内科医にはなじみがない先天性円錐動脈幹異常疾患（ファロー四徴症等），中隔のmalalignment等も簡単に紹介する．
心臓の発生に親しみを持ちながら成人先天性心疾患を理解することを目指す．