英文誌(2004-)
特別企画 循環器
シンポジウム 循環器3SHDカテーテル治療における心エコーの役割
(S287)
経カテーテル的大動脈弁置換術中における心エコーの役割
Role of perioperative echocardiography in transcatheter aortic valve implantation
村田 光繁
Mitsushige MURATA
慶應義塾大学医学部臨床検査医学
Department of Laboratory Medicine, Keio University, School of Medicne
キーワード :
Structural Heart Diseaseに対するインターベンション治療は経験の集積とデバイスの発展とともに,より安全に施行可能な時代となりつつある.これらの治療は,心内構造物の解剖学的把握が必須であり治療適応決定,周術期における心エコーの役割は重要である.使用されるエコーは,経胸壁心エコー(TTE),経食道心エコー(TEE),心腔内エコー(ICE)などがあるが患者の状態やインターベンションの手技によっていずれかを選択する.2013年,経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)が本邦でも保険適応となったが,TAVIにおける心エコーに対する見解は欧米でも意見がわかれており,米国では術中TEE施行下で行われているもののヨーロッパではTEEを使用していない施設が少なくない.ICEは心外アーチファクトを回避でき全身麻酔が不要であるメリットがあるが,描出断面が限られておりTAVI中およびdeploy後の人工弁逆流の成因の同定,微量なparavalvular leakや心嚢液の検出には不十分であり,後拡張の要否判断などについてはTEEが優れている.一方,経心尖部アプローチではTEEに加えてTTEで心尖部位置を同定し,切開部位および心尖部穿刺部位を心臓外科医にガイドすることでより安全に手技を行うことが可能である.また,TEEが使用できない患者の場合術中TTEを使用せざるを得ない場合もある.本シンポジウムでは,当施設における経験を踏まえてTAVI施行時の心エコーの役割について概説する.