Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 循環器
シンポジウム 循環器3SHDカテーテル治療における心エコーの役割

(S286)

構造的心疾患SHDカテーテル治療における心エコーの役割

Role of Cardiac Echo for SHD Intervention

原 英彦

Hidehiko HARA

東邦大学医療センター大橋病院循環器内科

Division of Cardiovascular Medicine, Toho University Ohashi Medical Center

キーワード :

構造的心疾患SHD:Structural Heart Diseaseという言葉がようやく国内に浸透してきた.カテーテル治療を中心とした低侵襲治療にて今まで行うことの出来なかった分野のunmet needsに介入する治療である.しかしながらこの分野に先進的である海外諸国の経験よりSHDカテーテル治療の普及にあたり忘れてはいけないことがある.それは,イメージングモダリティーの進歩である.経食道超音波はライブ3Dとなり空間認識が容易となり,介入治療の必要な複雑な構造物の位置関係を正しく容易に把握することを可能とした.また治療適応有無の判断や必要とされる器具のサイズを正しく提供することも従来可能ではあったが,加えて現場でのカテーテルの方向や進入角度が適切かどうか,ドプラー法を用いた術前後の生理的な情報の差異も重要で,そういった情報がないことには重症患者の治療が失敗に終わる場合もあり得る.つまり患者が致命的合併症を負うことになりかねない.そういった点において,実際に治療現場でカテーテルを握らなくとも,現場でのリアルタイムでの超音波検査の情報量の多さ,重要性というのは言葉に表わし難いほどである.SHDカテーテル治療に特化した研究会や学会のSHDセッションではイメージングに特化した会も同時に行われ,いかにイメージングが成功への鍵であるかということが強調されている.
SHDカテーテル治療を大きく分けると弁膜疾患,成人先天性心疾患,その他の構造的心疾患ということになるが,TAVRの現場においても透視と同時に行うTEE情報は非常に貴重であり,MitraClipでは心房中隔穿刺の位置の適切性をはじめ,ライブ3D TEEでナビゲートしなければカテーテル操作が難しく,決して成功しない手技である.こういった新しい弁膜疾患の治療は従来行われてきたSHD治療であるPTMCやretrogradeBAVといったエコーに頼らないでも可能なレントゲンの透視を中心にみる手技とは違い,エコー画像を見ながら治療を行うため,エコーの役割が飛躍的に大きくなってきた.また,経皮的心房中隔欠損閉鎖もTEEやICE(心腔内エコー)ガイドで行われることがほとんどであり,今後の発展が予想される経皮的左心耳閉鎖術もTEEがないと非常に困難である.左心耳閉鎖デバイスのサイズ選び,デバイスのリリース基準にTEEのクライテリアがあり,デバイス脇のリークの有無のみならずリークの定量化(大きさ)といった情報も必要である.さらに症例数は多くはないものの,弁膜症患者における外科的人工弁植え込み後の弁周囲逆流をカテーテル治療で閉鎖する経皮的弁周囲逆流閉鎖術はライブ3DTEEが必須な治療の代表ともいえよう.本講演では上記に挙げたSHDカテーテル治療とエコーの重要性について述べたい.