Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断12他領域医師・技師に役立つ心エコー図

(S260)

健康診断や人間ドックにおける心エコーのあり方

Role of echocardiography in the medical checkup and the health evaluation and promotion

山浦 泰子1, 島屋 真希1, 冨田 安彦1, 大倉 宏之2, 吉田 清2

Yasuko YAMAURA1, Maki SHIMAYA1, Yasuhiko TOMITA1, Hiroyuki OKURA2, Kiyoshi YOSHIDA2

1兵庫県予防医学協会健診センター, 2川崎医科大学循環器内科

1Public health, Hyogo Health Service Association, 2Cardiology, Kawasaki Medical School

キーワード :

健康診断は,狭義には‘medical checkup’として,健康状態に異常がないかどうかの審査や疾患の早期発見を目的として行われるが,広義には‘health evaluation and promotion’として,現在の健康状態の把握だけでなく,疾病を予防し健康増進に結びつけることを目的に行われる.健康診断や人間ドックにおける心エコー図検査のあり方について,上記の狭義・広義の両方の立場から,その役割について述べる.
心エコー図検査が狭義の健康診断の中で果たしている役割は,基本的に医療機関の外来で行われるルチン検査とほぼ同様のものと考えられる.すなわち,一次健診での異常所見から,二次検診として心エコー図検査が必要とされた人に対して行うもので,職域健診,人間ドック,学校健診などで,聴診等の診察所見で異常が認められた例や心電図,胸部X線撮影などの検査の有所見者に対して行われているのが一般的である.これらの,二次検診としての心エコー図検査は,循環器専門医・小児循環器専門医に紹介すべき患者の専門医への橋渡しを円滑にすることと,不必要な専門医への受診を減らせることとの両方の意義があると考えられる.
心エコー図検査の広義の健康診断における役割については,狭義のそれに比べると,確立されているとは言い難い.しかし,近年,生活習慣病・メタボリックシンドローム・それらを基礎に起こる動脈硬化性疾患が増加しており,平成20年から開始された特定健康診査(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導に代表される,広義の役割を果たす健康診断が求められている.また,社会の急速な高齢化に伴い,大動脈弁硬化から起こってくる大動脈弁狭窄等の大動脈弁疾患も近年増加傾向にある.大動脈弁硬化は,その初期病変に動脈硬化との病理学的疫学的共通性が認められている.私達は,動脈硬化危険因子保有者に対して,心エコー図検査を含む二次健康診断を行ってきており,それらの結果より,動脈硬化危険因子保有者について,心エコー図法で大動脈弁硬化を検出することが,大動脈弁狭窄や動脈硬化の早期診断や早期介入に有用であるかどうかを検討してきた.これらから得られた知見を中心に,広義の健康診断に果たす心エコー図検査の役割についてについて考察し,述べたい.