福田 浩之¹, 沼田 和司¹, 道端 信貴¹, 近藤 正晃¹, 田中 克明¹, 前田 愼², 伊藤 龍³, 貝沼 修⁴, 山口 武人⁴, 竜 崇正⁴

Hiroyuki FUKUDA¹, Kazushi NUMATA¹, Nobutaka DOUBA¹, Masaaki KONDO¹, Katsuaki TANAKA¹, Shin MAEDA², Ryu ITO³, Osamu KAINUMA⁴, Taketo YAMAGUCHI⁴, Munemasa RYU⁴

¹横浜市大附属市民総合医療センター消化器センター, ²横浜市大消化器内科, ³さんむ医療センター内科, ⁴千葉県がんセンター消化器科

¹Gastroenterological Center, Yokohama City University Medical Center, ²Department of Gastroenterology, Yokohama City University, ³Internal Medicine, Sanmu Medical Center, ⁴Gastroenterology, Chiba Cancer Center

キーワード :

【目的】
体外式集束強力超音波（high intensity focused ultrasound: HIFU）は高エネルギー超音波を微小焦点域に集中して，熱凝固により癌組織を壊死させる穿刺を必要としない低侵襲治療法である．現在RFAと比較し治療時間の長いことが課題である．またHIFU治療機のモニターは，画質の点や二次元超音波画像のため，照射や効果判定の立体的把握に限界があった．今回，US，CT，MRIの三次元画像，4D超音波による腫瘍のモニタリングを施行し，その有用性を検討した．
【方法】
対象は，HIFUを施行した腫瘍径30mm以下の肝細胞癌36例である．3D・4D超音波はLOGIQ 7（GE製）を用いた．3D CT（Light Speed Ultra,GE），3D MRI（SIGNA HDX 3.0T）の立体情報は，3D Slicerを用い，光学センサーからUSと同一断面を作成した．HIFU装置は，重慶Haifu社製JC200，綿陽社製HIFU装置を使用した．超音波造影剤はソナゾイドを用いた．
【成績】
HIFU治療時のモニターにおける二次元超音波像と同一断面を，3D slicerを用いて，3D CT，3D MRIの同一立体面をリアルタイムに表示することが可能であった．3D USは高分解能で腫瘍の正確な進展度診断に有用で，マージンを含めた照射範囲の設定に有用であった．3D CT，3D MRIは病変を含め広く安定して表示でき，照射経路における消化管，肺の存在など安全性の確認に有用であった．綿陽社製HIFU装置を使用した9例の治療では，4D超音波による安全性の確認が可能であり，治療直後には治療時の体勢のまま，治療台から移動なしに凝固部の高エコーの範囲をリアルタイムに3方向から観察可能で，また同時に造影3D超音波での効果判定も可能で，治療時間短縮に有用であった．36例中，30例において，一回の治療で，完全壊死することが可能であり，重篤な合併症も認めなかった．
【結語】
HIFUは，安全で有効な治療であり，US，CT，MRIの三次元画像のアシストが有用であった．現在RFAと比較し，治療時間の長いことが課題であるが，治療時の体勢のまま，治療台から移動なしに施行できる4D超音波・造影3D超音波は，治療時間短縮に有用であった．今後は，呼吸トラッキングシステム，温度モニター等の工学的工夫により，治療時間のさらなる短縮が必要と考えられた．
【文献】
1.Fukuda H, Ito R, Ohto M, et al. Treatment of Small Hepatocellular Carcinomas with US-guided High-Intensity Focused Ultrasound. Ultrasound Med Biol. 2011.37:1222-9.
2.Fukuda H, Numata K, Nozaki A,et al. Findings of multidetector row computed tomography of HCCs treated by HIFU ablation. Eur J Radiol. 2012:81:e239-43.