Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断11集束超音波治療の現状と問題点

(S254)

乳癌の局所治療:超音波で見つけて超音波で治療する

Local treatment of breast cancer: To find and to treat with ultrasound

古澤 秀実

Hidemi FURUSAWA

ブレストピアなんば病院乳房腫瘍外科

Breast Surgical Oncology, Breastopia Namba Hospital

キーワード :

【はじめに】
乳癌の生物学的挙動を考慮するなら,患者の予後を規定するのは発見時の病期と術後薬物療法であって,乳房内に生きた癌細胞を残さないとの前提で局所療法の方法が問題となることはないはずである.当院では,MRガイド下集束超音波手術(MRgFUS)による乳癌局所治療の効果と安全性を検証するために,段階的臨床試験を継続中である.一方,わが国は歴史的に乳癌死亡率の低減を経験したことがない.
【目的】
切除・非切除臨床試験におけるMRgFUSの効果と安全性の検証.乳癌死亡率低減への寄与の可能性の探索.
【結果】
切除試験:評価症例29例の2次元的病理学的効果は,96.7%であった.1例に重篤な有害事象としてIII度の乳房皮膚熱傷を経験した.非切除臨床試験:評価症例67例の年齢中央値57歳(29-79),最大腫瘍径中央値11.0mm(5-15)で,観察期間中央値は67ヵ月(2-95),60ヶ月以上観察症例が34例,24ヵ月以上は55例で,局所再発,遠隔再発および重篤な有害事象を経験していない.selection biasはあるものの,同時期に当院で行われた15mm以下の浸潤性乳管癌の放射線療法を併用しない乳房温存手術419例と比較すると,5年無病生存率はMRgFUS群が100%,手術群が97.2%であった.2000年から2009年の当院の手術症例3,195例のうち20mm以下の浸潤癌は1,558病変(49.6%)で,10mm以下は614病変(19.2%)であった.10mm以下の病変に限って見ると術前の指摘率は,マンモグラフィ単独で4.1%,超音波単独で75.0%であった.
【考察】
非浸潤癌は生命には関わらないので,当面は小さな浸潤癌の発見が乳癌死亡率を下げうる最善の手段であり,小浸潤癌の発見と治療に超音波の乳癌の診断と治療に果たすべき役割は大きい.