Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断11集束超音波治療の現状と問題点

(S252)

集束超音波治療の現状と問題点とその解決策

Current State and Problems of High-Intensity Focused Ultrasound Treatment and Their Solutions

梅村 晋一郎

Shin-ichiro UMEMURA

東北大学大学院医工学研究科

Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku Univeristy

キーワード :

集束超音波(HIFU)治療は,前立腺の経直腸的加熱凝固治療をはじめとし,子宮筋腫・乳腺腫瘍・肝臓がんなどの経皮的治療に応用されている.特徴は,超音波の優れた集束性によりシャープなフォーカル・スポットを形成できることである.これにより,高い空間的選択性が得られる一方,単位時間に治療可能な患部の体積が小さく,治療スループットが低いという本質的問題点をもつ.前立腺の経直腸的治療では,表面冷却により直腸壁の熱的ダメージを防ぎながら,治療スループットを上げる工夫が効果的であるが,より深部に焦点をおく経皮的治療では,生体の熱伝導に依存する表面冷却の効果は限定的である.この問題点を解決する技術として,治療目的領域に超音波加熱を促進するマイクロバブルを導入する方法が研究開発されている.これには,安定化マイクロバブルを用いる方法と,大振幅の短いパルス照射によりキャビテーションを起こす方法がある.また,元来細長い葉巻型の加熱域を横方向に広げて加熱における熱効率を改善する方法が開発されている.これには,フォーカル・スポットを方位方向に広げる方法と,方位方向に複数並べて高速走査する方法がある.
HIFU治療においては,外科手術などと異なり治療目的患部を肉眼視できないので,治療を照準・監視するイメージングが必須である.現在,この目的には,超音波イメージングかMRIが用いられている.MRIの特長は,温度マッピングが可能なことであるが,イメージング速度とコストが問題である.超音波イメージングの特長は,生体組織中に音速不均一があっても,治療用超音波もイメージング用超音波と同様に屈折するため,照準が自動補正される点や,イメージング速度にあるが,温度マッピングについては原理的・技術的な問題がある.この問題点を解決する技術として,加熱凝固による生体組織の変化を,放射圧駆動イメージングによるずり弾性変化の検出や,超音波散乱の変化により検出する方法が研究開発されている.