Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断8リンパ節の超音波診断

(S241)

甲状腺,頸動脈検診で遭遇する頸部リンパ節腫脹の取り扱い

The evaluation of swollen lymph nodes in thyroid and carotid artery ultrasonography for screening

尾本 きよか

Kiyoka OMOTO

自治医科大学附属さいたま医療センター臨床検査部

Laboratory Medicine, Saitama Medical Center, Jichi Medical University

キーワード :

頸動脈超音波検査は人間ドック,脳ドックなどのスクリーニング検査や2次検診の検査項目として行われている.頸動脈の観察範囲は,その中枢側は腕頭動脈や大動脈弓と分岐する付近から,末梢側は内頸・外頸動脈の分岐部から数cm遠位部までである.頸動脈だけが対象であっても,日頃超音波検査に従事している技師,医師であれば,その近傍にある甲状腺,顎下腺そしてリンパ節は当然視野の中に入ってくるので,異常な所見があれば無視することはできない.それゆえリンパ節についてもどのような場合は経過観察で,どのようなときは精査にまわす必要があるのかを日頃から整理しておく必要がある.

腫大したリンパ節を診断する際に,まず関連する臓器(原発巣)がどこかを部位別に推定するようにする.たとえば顎下部,側頸部では唾液腺,咽頭,口腔内の疾患,オトガイ部では口腔内の疾患,前頸部付近では甲状腺疾患,総頸動脈起始部,鎖骨上では食道,肺疾患などを考えるが,その他にも皮膚疾患や全身性の疾患も念頭に入れておく必要がある.

超音波画像で良悪性の判別ポイントは,リンパ節の形状,内部のエコーレベル,後方エコー,血流の有無・走行,嚢胞変性・微細石灰化の有無などである.その他,臨床的な情報として年齢(小児,成人),経過(急性,慢性),治療歴(悪性腫瘍の手術など),既往疾患,理学所見(軟・硬,癒着,圧痛の有無)なども加味するとさらに疾患の鑑別が進んでいく.

頸動脈や甲状腺の超音波検査に従事している技師,医師が知っておくべく腫大した頸部リンパ節の基本的な見方,考え方について説明していく.