Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断5造影超音波による診療へのインパクト

(S230)

移植膵における造影超音波

Case of Pancreas transplant by Contrast enhanced Ultrasonic

西川 徹1, 2, 吉岡 健太郎1, 橋本 千樹1, 川部 直人1, 原田 雅夫1, 加藤 美穂2, 杉山 博子2, 青山 和佳奈2, 市野 直浩1, 刑部 恵介1

Toru NISHIKAWA1, 2, Kentarou YOSHIOKA1, Senjyu HASHIMOTO1, Naoto KAWABE1, Masao HARATA1, Miho KATOU2, Hiroko SUGIYAMA2, Wakana AOYAMA2, Naohiro ICHINO1, Keisuke OSAKABE1

1藤田保健衛生大学病院肝胆膵内科, 2藤田保健衛生大学病院臨床検査部

1Division of Liver Biliary tract and Pancreas Diseases, Fujita Health University, 2Department of Clinical Laboratory, Fujita Health University Hospital

キーワード :

【はじめに】
今回,我々は臓器移植例において造影超音波(以下CEUS)を行う機会を得たのでその使用経験を報告する.なお,使用に関しては,院内倫理委員会ならびに患者の同意を得て行った.
【目的】
移植膵の血行動態の評価を行うとともに移植脾静脈の血栓の有無ならびに,移植脾静脈内の血栓に対する薬剤治療の効果判定を目的として観察を行った.
【対象】
膵腎同時移植を行った症例で術後直後からCEUSにて複数回経過観察が行えた8例を対象とした.
【方法】
超音波ソナゾイドを0.5ml静脈よりボーラス投与し,投与直後より観察を行った.診断装置は,GEヘルケア社製Logiq E-9を使用した.観察モードはcontrastモードで,pulse inversion harmonic imagingおよびamplitude modulationを使用した.
【結果】
①術後直後では8例中7例において投与後早期に移植膵全体が染影を認め,実質部染影直後に,移植脾静脈も染影された.良好な染影を認めなかった1例は消化管ガスの影響にて観察条件が悪く,移植脾静脈の染影も認識困難であったが,移植上腸間膜静脈の染影は確認できた.②術後翌日の検査にて8例中1例に移植脾静脈の染影が不良となり,同部位に血栓が確認され本例では血栓薬物治療が開始された.描出不良例であった1例は術後翌日の検査にて実質部染影ならびに移植脾静脈も良好な染影を認めた.③術後3日目は4例において検査を行った.全例にて移植膵は良好な染影を認めた.しかし,新たに1例にて移植脾静脈の染影が乏しく同部位に血栓が確認され,血栓薬剤治療が開始された.また,血栓薬剤治療を開始した1例では移植脾静脈内に副血管と思われる線状の染影が確認された.④術後3日目にて移植脾静脈に血栓を認めた症例に関してのみ継続的な観察を行うこととなった.血栓を認め治療を開始した2例の継時的観察において,移植脾静脈内に副血管による染影が良好に観察されるようになった(図1).
【まとめ】
移植膵の染影は投与後直後より良好に観察しえたと思われる.さらに移植脾静脈の血栓の有無ならびにその治療効果においても経過中に副血管の観察ができたことは重要であったと思われた.CEUSはCT,MRIに比べ低侵襲であることは語るまでもないが,頻回な確認が必要な本ケースでは重要な検査の1つを担ったものと思われた.