Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断5造影超音波による診療へのインパクト

(S229)

ソナゾイド造影超音波による肝病変評価の臨床的有用性

Clinical usefulness of the Sonazoid-enhanced ultrasonography in diagnosing liver diseases

松清 靖, 池原 孝, 住野 泰清

Yasushi MATSUKIYO, Takashi IKEHARA, Yasukiyo SUMINO

東邦大学医療センター大森病院消化器内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Toho University Omori Medical Center

キーワード :

【はじめに】
肝臓の血流は機能規定因子の一つであり,特に門脈血は栄養源として肝臓にとって重要である.我々は今までの検討から慢性肝疾患の病期進行例や,急性肝炎急性期など様々な病態で,肝実質灌流が動脈化することを報告してきた.この動脈化をソナゾイド造影超音波で詳細検討することは,病態評価に有用であり,多くの示唆に富む所見が得られる.
【対象・方法】
肝病変を反映して変化する微小循環をソナゾイド造影超音波で解析検討した.早朝空腹時に造影超音波を施行した急性肝炎32例(A型3例,B型19例,C型1例,AIH6例,E型3例),アルコール性肝障害32例,組織所見を得たC型慢性肝疾患162例を対象とした.超音波装置は東芝AplioXGを用い,造影超音波:ソナゾイド0.015ml/kgをボーラス静注後,肝・右腎のfirst passを30秒間記録しarrival−time parametric imageを得,さらにそれをperfusion parametric imageに変換後に画像解析ソフト(ピクセルカウントアプリケーション)で動脈化の程度を数値化・定量化したものを動脈化率(arterialization ratio:AR)とし,肝実質の灌流動態を検討した.
【結果】
急性肝炎:7割以上の症例が急性期に動脈化し,ほとんどの症例が回復期には正常灌流動態を示した.しかし,動脈化が遷延した症例ではLOHFへ進展した.急性肝障害では動脈化が遷延した場合,重篤な病態となる可能性が示唆された.C型慢性肝炎:病変が進行すると動脈化が高度になり,線維化ステージと相関を示した.門脈圧上昇,門脈血流減少に対する代償性変化と考えられるが,さらなる類洞圧上昇を惹起する可能性があるため腹水,静脈瘤,脾腫と比較検討したところ,動脈化症例では腹水と静脈瘤が多い傾向が認められた.またARと肝機能の関係を解析するため,ALB,BIL,PT%,PLTと比較検討したところ,ALB,BILはARが高値になると悪化する傾向であり,臨床的有用性が示唆された.アルコール性肝障害:C型慢性肝炎と比較して動脈化がより強い傾向であった.また経過観察例では飲酒すると動脈化するが,断酒して2〜3週すると門脈灌流に戻るという所見が得られ,飲酒チェッカーとしての有用性が示唆された.
【まとめ】
各疾患で認められる現象・メカニズムは多様であり,その解析は病変・病態の掌握に有用である.