Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断4ナビゲーションシステムの今

(S223)

基本波AM法の一工夫:Navigation systemを用いた3点法について

3 points method:a new application of navigation system in contrast-enhanced US

渡部 多佳子1, 石田 秀明1, 小松田 智也1, 宮内 孝治2, 長沼 裕子3, 大山 葉子4

Takako WATANABE1, Hideaki ISHIDA1, Tomoya KOMATSUDA1, Kouji MIYAUCHI2, Hiroko NAGANUMA3, Yoko OHYAMA4

1秋田赤十字病院超音波センター, 2秋田赤十字病院放射線科, 3市立横手病院内科, 4秋田組合総合病院臨床検査科

1Department of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital, 2Department of Radiology, Akita Red Cross Hospital, 3Department of Internal Medicine, Yokote Municipal Hospital, 4Department of Medical Laboratory, Akita Kumiai General Hospital

キーワード :

【はじめに】
現在造影超音波法は肝腫瘍の画像診断に不可欠なものになった.その方法は主に,a)2次高調波を表示するもの,b)基本波Amplitude modulataion(AM)法,に大別される.基本波AM法は前者の欠点であったtissue harmonic成分を抑え,ほぼ純粋に造影剤の時間的空間的分布を表示可能であるが,逆に視野内に指標が無い(闇夜)状態での検査となり,適切な断面を固定できない欠点がある.一方,Navigation system(NS)は磁場発生装置を用い空間的位置関係を把握可能にする手法で,超音波画像で描出困難な原発性肝細胞癌巣をCTの空間的情報を基に位置同定する目的で近年頻用されるようになった.今回我々はこのAM,NS装置を共に内蔵したGE社製LOGIQ E9を用い下記の方法で造影超音波検査を行い良好な結果を得たので報告する.超音波造影剤はSonazoid(第一三共社)で,造影手順は通常の肝腫瘍のそれに準じた.
【検査手順】
まず病変が最も鮮明に描出されたBモード断面上で指標となる3脈管内の3点(各1点)を選択,ここをNSでマーキングし次いでこの3選択点を全て最も設定時の位置に近い状態で保ちながら造影AM法を行った.なお3点に関しては,病変近傍の門脈と肝静脈のうち安定して表示可能なものとし,症例により,門脈内2点と肝静脈1点,またはその逆,としたが,必ず門脈と肝静脈,両者を用いることとした.今回の対象症例は肝細胞癌2例,肝転移3例,肝血管腫5例で,上記の検査手順でAM法を行ったところ,全例で設定断面保持が容易となり検査精度が向上した.
【まとめと考察】
今回の3点法は始めたばかりで症例数も少なく方法論も含め今後大いに改良しなくてはいけないが,この初期経験の段階ですでに大きな可能性を示している.まず“3点”の妥当性を考える.それは,ある断面を正確にずれなく固定する最も合理的な方法が3点を結ぶ断面を確定することであるからである.1点,2点では断面は固定できないが3点ではそれを含む断面は唯一のものになりずれが無くなることが,この“3”の根拠である.次いで,肝内の指標として病変近傍の門脈と肝静脈内にマーキング点を置くことの妥当性を考える.肝内には,肝動脈,門脈,肝静脈,の3脈管があるが,肝動脈はBモードで表示追跡するには細すぎることから,Bモードで容易に内腔が表示可能な門脈と肝静脈を選択した.また,門脈と肝静脈は走行が異なるためこの両者を利用(門脈2点と肝静脈1点,またはその逆)することで現実的にこの方法が試行できると,考えた.今後この方法を用い更に経験を増したいと考えている.