Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断3新専門医制度と超音波専門医

(S220)

新しい専門医制度における超音波専門医研修プログラム

Training program for the new expert system

藤本 武利1, 2

Taketoshi FUJIMOTO1, 2

1平塚胃腸病院外科, 2日本超音波医学会超音波専門医制度委員会超音波研修プログラム検討小委員会委員長

1Surgery, Hiratsuka Gastroenterological Hospital, 2Training Program Committee Chairman, JSUM

キーワード :

【はじめに】
国民に分かりやすい専門医制度の必要性が議論されるようになってから久しい.いよいよ中立的第三者機関の設立が目前に迫り,脳神経外科学会・産科婦人科学会・耳鼻咽喉科学会など基幹学会(基本領域専門医19)と位置づけされた学会の中には既にこれに向けて専門医制度を整備し,実際に動き出しているところもある.日本超音波医学会は,基幹学会の上に乗るサブスペシャリティ領域学会(サブスペシャリティ領域専門医)の位置づけを与えられていて,中でも特殊な技能や診療領域等に関するより専門分化した領域に相当するとも考えられており,現状では制度上の位置づけを含めて検討中の扱いである.
【超音波専門医研修カリキュラムと超音波専門医研修プログラム】
従来は領域毎の超音波専門医の性格が強かったが,超音波専門医は本来超音波医学全般の素養を持ち,循環器病学や消化器病学などの各専門分野の知識だけでなく,工学や多領域に亘る知識が広く要求されるという,他の専門医にはない特色を持っている.このため,こうした観点も含めて最近「超音波専門医研修カリキュラム(第2版)」が改訂されて発刊され,これに沿って超音波専門医研修プログラムが作成されることになる.さらにこれに付随して,超音波専門医認定試験問題も必須項目である「医用超音波工学の基礎」と「臨床超音波医学の基礎」を合わせた比率が選択項目の「専門医の各領域」を上回ることになる.
【超音波専門医研修施設の認定】
従来の超音波専門医制度では,超音波指導医1名あるいは超音波専門医2名を擁するなどの現状施設基準を満たした学会認定研修施設での研修を研修カリキュラムに基づいて行い,超音波専門医認定試験に合格して超音波専門医資格を取得することができたが,新しい専門医制度では研修プログラムの質が問われることになる.すなわち,従来は,研修カリキュラムの履行実態を厳密に評価・確認することまでは行われずにきたが,新しい専門医制度では各施設が研修カリキュラムに沿って研修プログラムを作成し,その評価を学会の専門医制度委員会が行い,今後新しく改定する「超音波専門医研修施設指定に関する内規」に従って研修施設の認定を行うことになる.前掲の基幹学会の実情をみても単一の施設で研修施設の認定を受けることは難しくなり,研修プログラム基準を満たした基幹研修施設と研修プログラムを分担する関連研修施設に分類されている.日本超音波医学会はこの研修プログラムのモデルを作成するよう現在作業を進めており,各施設ではこれを参考に具体的プログラムを作成していただくことになる.
【おわりに】
「専門医の在り方に関する検討会報告書」によれば,「専門医とは『神の手を持つ医師』や『スーパードクター』を意味するのではなく,『それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち,患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師』と定義することが適当である」と記載されており,日本超音波医学会は国民に信頼されて分かりやすい超音波専門医制度の確立を目指して作業を進めている.