Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断2組織弾性評価手法の現状と将来動向

(S216)

乳腺領域における組織弾性評価手法

Breast Elastography

中島 一毅

Kazutaka NAKASHIMA

川崎医科大学総合外科学

General Surgery, Kawasaki Medical School

キーワード :

組織弾性評価であるエラストグラフィが,世界で最初に日常臨床に導入されたのは,2003年で,当時の日立メディコからReal-Time Tissue Elastographyの名称で,乳腺領域での使用を目的として発売された.
以後,国内ではこのRTEがエラストグラフィの代名詞として広まってきたが,2014年にはRTE以外にも組織弾性評価を用いたエラストグラフィが多くのメーカーから発売されている.これらはRTEに近似したものとそうでないもので,RTEと同等の精度があるのか,そうでないのか,RTEと同じ測定・診断法でいいのか,多くの疑問を生じ,検査者,メーカー共に混乱した状況となっていた.
この状況の収拾には超音波エラストグラフィの精度管理が必須であると考え,2011年,日本乳腺甲状腺超音波医学会精度管理研究班に,エラストグラフィ精度管理研究班小班を立ち上げ,混在するエラストグラフィの評価,分類を開始した.翌年には日本超音波医学会教育委員会にも乳房エラストグラフィ小委員会が立ち上がり,2013年10月,この二つの委員会共同で,「JSUM ultrasound elastography practice guidelines: breast」を発表するに至った.このガイドラインは,画像構成法による分類,推奨撮像法の分類,読影法の分類などのエラストグラフィ総論の他,2013年末時点での各メーカーの特徴を各論として解説しており,大変訓細なものとなっている(表).
本ガイドラインが出版されたことにより,メーカー毎にエラストグラフィの開発目的等に方向性がでてきており,精度が向上している様に実感しており,その成果を実感している.
本シンポジウムではこのガイドラインを中心に乳腺領域組織弾性評価法の各メーカーの現状を解説する.
このうち画像構成法に関しては「基礎領域」,「肝臓領域」と共通する分が多いため,「推奨画像撮像法」,「読影法」などの臨床応用について中心に解説し,さらに,エラストグラフィを標準の診断に加えた,乳房超音波検査の将来像と考えるComprehensive Ultrasoundについても紹介する.