Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画6
光超音波画像研究会・基礎技術研究会共同企画超音波マルチモダリティ技術の最新動向

(S206)

光ファイバハイドロホン

Fiber Optic Hydrophone

中村 健太郎

Kentaro NAKAMURA

東京工業大学精密工学研究所

Precision and Intelligence Laboratory, Tokyo Institute of Technology

キーワード :

【緒言】
光ファイバハイドロホンは音圧検出部と信号伝送に光ファイバを用いたハイドロホンである.1970年代後半〜1980年代に水中音響センサとしてさまざまな方式が研究され,干渉方式のものでは圧電型よりも高い音圧感度が得られた.これらは主に軍用で10 kHz以下を対象としていた.本発表では,数100 kHzから10 MHz程度までを対象とした光ファイバハイドロホンについて概説する.これは,光ファイバ切断面の光反射や光ファイバ先端に微細な光干渉構造を設けたもので,直径約0.1 mmの細径なハイドロホンが実現できる.
【端面反射型】
光ファイバ切断面をそのまま使ったもので,光ファイバの屈折率約1.5と水の屈折率約1.33の差による反射光の強度が超音波音場によって変調されることを利用している.音は疎密波であり,媒質(水)の屈折率変調を伴う.これを反射光量の変調として検出する.感度は低いが,音圧と屈折率変化の関係から,音圧の絶対値を校正無しで知ることができる特徴がある.HIFUなどの高音圧に向いていると考えられる.
【FP型】
光ファイバ先端に0.1 mm以下の長さの樹脂製ファブリ・ペロ(FP)共振器を設けたものである.長さに応じた間隔で反射光の波長特性にディップが生じる.音圧が加わると,このディップ波長が変調されることを利用している.波長変化は音圧により共振器長や樹脂の屈折率が変化するためである.端面反射型よりも高感度であるが,感度校正が必要である.
【FBG型】
ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)は光ファイバのコアの軸方向に屈折率の周期構造を設けたもので,その周期に応じた特定の波長の光を反射する.音圧により反射中心波長が変調されることを利用する.ファイバ内に紫外線により書き込まれた構造であるので丈夫であるが,長さが数mm程度となる.光波長分割によるアレイ化も可能である.
【DBR-FP型】
分布屈折率反射鏡(DBR)により挟んだFP共振器を用いるもので,音圧による反射ディップの変調を利用する.光ファイバコネクタのフェルール部などに蒸着技術で作製する.比較的堅牢である.
【結言】
光ファイバを用いることで,微細なハイドロホンが得られる.電気インピーダンス整合の問題や電磁ノイズの問題が無く,多点化なども可能である.