Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画5
日本超音波検査学会共同企画救急診療に超音波の“知”と“技”を生かす

(S200)

当院における救急超音波検査の対応

Response to emergency of ultrasonography in our hospital

秋山 敏一

Toshikazu AKIYAMA

藤枝市立総合病院診療技術部

Department of Medical Technology, Fujieda Municipal General Hospital

キーワード :

【推移と現状】
当院では救急医療における超音波検査の有用性を認識し,積極的に救急診療に対応してきた.当院における時間外の救急超音波検査は,1981年度から電話での呼び出しで始まり,1993年度からはポケットベルによる呼び出し当番体制ヘ,さらに2002年度からは日当直体制へと需要の増加に対応してきた.現在,技師10名が日当直の24時間体制で対応している.検査内容も呼び出し当番体制までは主に腹部エコーであったが,日当直体制からは全領域に及んでいる.
救急超音波件数は毎年増加し,2012年度は救急外来患者17,596人に対して6,307件35.8%であった.検査の内訳は,FAST 263件4.2%,腹部エコー3,413件54.1%,心エコー2,120件33.6%,血管エコー369件5.9%,体表エコー134件2.1%,超音波下穿刺8件0.1%であった.ただし,心エコー検査には入院時術前検査202件が含まれているので,実質の救急心エコーは1,918件30.4%となる.
検査においては,常に緊急処置が必要かどうか,重篤な疾患の有無を念頭に検査に携わり,各疾患の可能性を疑い,広い範囲の走査を心がけている.
現在,救急治療室にはノートパソコンタイプの超音波診断装置が常備されているが,小型ゆえに画像がやや劣り,連続波ドプラ法もできない.このため,救急治療室ではFASTおよびバイタルサインが不安定な患者を対象に,医師立ち会いのもとに検査を施行し,バイタルサインが安定している患者は超音波室で検査を施行し,重篤な疾患の場合は医師に連絡している.2012年度は心エコーの47.8%,腹部エコーの7.3%,血管エコーの7.0%,体表エコーの0.7%,合計1,456件を救急治療室で施行した.2015年度には救急センターの開設が予定されており,救急センターに上位クラスの超音波診断装置を設置し,センター内で全ての超音波検査に対応していく予定である.
【育成】
毎週火曜日8:00から8:30まで超音波レポートコーナーにおいて医師(外科医,放射線科医,研修医)と技師による症例検討会を行い,疾患を学び診断力を高めると共に,医師とのコミニュケーションを取っている.
新人研修は,需要の多い腹部エコーから習得を始め,心エコー,体表エコー,血管エコーと順次経験を積んでいく.救急超音波検査に関しては,ダブルチェックが可能な通常の勤務時間内での救急検査から対応し,1年経験した後に日当直を担当している.なお,検査および読影に苦慮した場合は,依頼医師または先輩技師を呼び対応している.
超音波検査士制度では,全領域に対応しているため,一つの領域に留まらず,可能な限り多領域の認定を取得するよう努めている.ちなみに平均取得領域は4領域で,全領域取得者は2名いる.
なお,当院超音波検査の創始者である杉山 高氏は救急超音波検査の集大成として,2000年に「全科の救急エコー虎の巻」を井上書林より出版され,救急超音波検査のテキストとして活用してきた.